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STAP現象が確認されたという記事について

すごい久しぶりの更新になります。今までサボってました。

なぜ久しぶり更新しようと思ったかというと、あまりにひどい記事があったから。
友人から、STAP現象が確認されたという記事が話題になっているということを聞き、それを見たのですが、とにかくひどかったです。(ちなみに見たのはBusiness JournalのSTAP現象の確認に成功、独有力大学が…責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる 文=大宅健一郎/ジャーナリストという記事です。)先に結論から言うと、論文の著者はSTAP現象を確認しているとは言えないし、実際そんなこと一言も言ってない。なのに日本語の記事を書いた人は著者の結論を曲げて、確認できたといっているのです。

本題に入る前にSTAPについて確認しましょう。ざっくりいうと、STAPは正常な体細胞を酸性条件で処理したら一部生き残る細胞がいて、その細胞はどんな細胞にでもなれる能力(多能性)を獲得していたというものです。

まずは著者はどんな実験をしたのかを見ていきましょう。論文はModified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytesというものです。
著者らが言うには、jurkatという、白血病患者由来T細胞をpH3.3という酸性条件(元のSTAPの条件から少しだけ変えた条件)で処理したら大半はアポトーシスを引き起こし死んでしまったが、少し生き残った。酸性条件でふるいをかける過程ではOct4などの遺伝子の発現は見られなかったが、生き残った細胞を調べてみると、AP+の割合が増えた。ただし、ガン幹細胞や造血性幹細胞のマーカーも見られなかった。とのこと。

じゃあもう少し解説しましょう。まずこの論文で多能性を獲得したとする根拠は酸で処理した後生き残った細胞はAP+になったということだけ。APとはアルカリフォスファターゼという遺伝子のことで、この遺伝子を大量に作る細胞をAP+(alkaline phosphatase positive )と書いたりします。胚性幹細胞などの多能性をもつ細胞はAP+であるという特徴がよく知られていて、多能性マーカーの一つになっています。で、酸で処理した後生き残ったjurkatも幹細胞同様AP+となったとのこと。ここまでは良いです。ただし、AP+となるのは多能性マーカーの一つにすぎません。他のマーカー、例えばoct4とかの発現も確認されていません。しかもほかの細胞に分化できることを確認する実験を行っていないので、本当に多能性があるとは言えません。従ってSTAP現象が確認できたとは言えません。
ついでに言うと、今回は正常細胞ではなく、がん細胞を使っていて再生医療にとっての重要性はないです。逆に言うなら、がん幹細胞マーカー遺伝子の発現も発現してないので、酸で処理しても、正常細胞もがん細胞も幹細胞になることはできなかったとすらいえます。

まあ確かに著者たちもキャッチーな論文にしようとしたのか、STAPとかpuluripotencyというワードを使ったのは若干問題な感じはありますが。

関係ないけど記事の中で「常識を逸脱した禁じ手まで使って論文をなきものとして責任逃れをした理研や早稲田大学」とありました。常識を逸脱した禁じ手ってなんでしょうか?論文を撤回したこと?文章や画像の剽窃やら不適切な画像処理やらが満載な論文を撤回しないほうがどうかしています。理研は1000万円を超えるお金と約1年間の時間をかけて再現実験まで行っているのに、これ以上なにをすれば責任逃れをしていないとこの記事を書いた人は納得するのでしょうか。

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3 minutes to midnight

今回は論文ではありませんが、小ネタをひとつ。

イギリスにiron maidenというの有名なロック・メタルバンドがいます。その代表曲の一つに2 minutes to midnightというものがあります。そして、現在、世界は3 minutes to midnightの状態にあるという情報が入ってきました。

何の話かというと、世界終末時計(Doomsday clock)の話です。核兵器や環境汚染などにより人類の滅亡(自滅?)を午前零時になぞらえ、その終末までの残り時間を「零時まであと何分」という形で象徴的に示す時計です。(wikipediaより)終末時計は仮想的なものであり、世界が安全になったと判断されれば時計は戻るし、危険な状態になったと判断されれば針が進みます。判断はBulletin of the Atomic Scientistsという組織が行っており、これまでは世界の終わりまであと5分だったのですが、2分進めるという判断がくだり、後3分となりました。針を進めた理由にはおもに環境と核兵器の2つがあります。気候変動は既に変化がおき始めているにもかかわらず、いつまでにどうするかという部分が不十分であるためとしています。核兵器に関しては、核軍備競争が進んでいることを懸念してとのことです。

これまでに滅亡に近づいたのは米ソが水爆の実験に成功したころで、滅亡まであと2分という状態でした。(アイアン・メイデンの2 minutes to midnightはこの時の世界終末時計のことを歌っています)。逆にもっとも滅亡から遠いときはソ連が崩壊したころで、17分でした。環境問題ももちろん、今はISISなどをはじめ、戦争をしている国や地域はたくさんあり、核が使われるリスクが高まっています。なんとかして時計の針を戻していきたいものです。


(アイアン・メイデンのアルバムpower slaveの中の一曲、2 minutes to midnight)
Doomsday clock (世界終末時計)
世界終末時計の針を戻そうという組織のturnbacktheclock.org

科学における性差

日本は男尊女卑だとし、男女差別を無くそうという運動があり、雇用機会均等法などに代表されるように法的にも男女平等に扱うように規定されるようになりました。しかし、一般に言われることですが、理系学部、特に数学科や物理学科では女性の割合が少ないです。これは果たして性差別があるからなのでしょうか、それともうまれもった能力が違うのでしょうか。もし、生まれ持った才能の違いがあるとしたら、理系的な才能を求められる職種では、優秀な女性が育ちにくく、均等に雇用機会を与えても女性が採用されにくくなる、ということになります。昔から、男女間の能力に差があると考えている人は多いですが、これを示す客観的な証拠を示した人はいませんでした。今回、男女差に先天的な「理系の才能」の差があり、学部・学科での男女比の差を生み出していることを示す報告がされました。

今回の研究では、30種の学部で、2011年にアメリカで博士号を取得した人と、大学院生、ポスドク、教授などを比較しました。ここでは、男女間に本質的なさがあるという仮説以外にも、男女間で働く時間が違うという仮説や、そもそもの男女比、情熱、勤勉さなどに起因するという仮説も立て、検証しました。結果、生まれ持った才能が必要なとなる分野ほど、女性の比率やPhDの取得率が低いことが分かりました。
結論としては数学や物理のような、努力で得られないようなある種の才能が必要な学部ほど女性の割合が低くなる原因として、女性はそのような能力を持たない(あるいは能力はあるが認められない)と考えるのがもっとも良く説明できるということでした。

もちろん、ほんとうに数学や物理には才能が必要かなどの批判はあります。また、裏を返せば、女性の割合が高い学部で必要となる能力は、男の人は持たない傾向があるといえます。
過去にはハーバード大学学長を務めていたローレンス・サマーズという人が、2005年に女性が統計的にみて数学と科学の最高レベルでの研究に適していないとした発言をし、批判を受けて学長を辞任にまで追い込まれました。しかし、今回の結果が示す限り、この意見は間違いではないということになります。(もちろん平均的な男の人よりも数学的な能力が高い女性もいるし、優秀な科学者の女性もいるので表現がよろしくないかもしれませんが。)今、色々な分野で、女性管理職等を増やせという意見があります。しかし、その職に求められる能力を良く考えずに、女性の割合を画一的に決めてしまうのは、組織にとってマイナスになるのかもしれません。個人的には男女間に性差があるということと、性差別をするということは別問題として取り扱わなければならないと思います。

最後に、この論文に対して不快に思う女性もいるかと思いますが、この論文の第一著者は女性であることも付け加えておきます。

元の論文
Expectations of brilliance underlie gender distributions across academic disciplines

コンピュータは友達よりもあなたのことを知っている

人間生きていくうえで、その人柄を評価されることは避けられません。たとえ友達にはうまいこと良い人を演じることが出来ても、コンピュータはその人の本性を見破ってしまうかもしれません。

今回の研究はfacebookのmyPersonalityというアプリを通して、5大性格(外向性、情緒安定性、誠実性、協調性、開放性)テストを行った86,220人に注目しました。この人たちがどんなfacebookページに「いいね!」をしているかを基に性格を予測しました。比較として、その人たちの友人たちからの評価も調べました。結果、コンピュータがはじき出した結果のほうが性格テストの結果に近く、その人の性格を見破っていることが分かりました。

こういった情報はマーケティング等には不可欠でしょうし、欲しがる人はたくさんいるでしょう。個人の名前と性格は関連付けられないようにしているでしょうが、快く思わない人もいるでしょうね。

元の論文
Computer-based personality judgments are more accurate than those made by humans

ほぼ最強のポーカーマシーン

近年ロボットの知能の発達は著しく、97年にチェスの世界王者がIBMのDeep Blueに敗れて、人間の知能が機械に負けたと話題になりました。それ以降、機械対人間の頭脳戦は行われており、将棋でも最近は、プロが負け越したりしており、ロボットの知能はますます上がっていく一方です。今回、カードゲームでも最強のマシーンができました。公平なルールならほぼ負けないポーカーのアルゴリズムが作られました。

チェスや将棋と違ってポーカーの問題を解く難しさは、相手がどんなカードを持っているかわからないという不確定な要素にあります。こういった不確定な要素が含まれる問題を解くために、経済学の分野ではゲーム理論というのがあります。基本的にはこの考えに則っています。今回、対象としたルールはテキサス・ホールデムとよばれる一般的なポーカーのルールです。今回はプレーヤー2人とし、割と計算はしやすい条件を選んでいます。アルゴリズムの中身の詳細は避けますが、基本的には counterfactual regret minimizationというアルゴリズム(あの時こうしておけばよかったという後悔を最小化するアルゴリズム)を改良した物です。もう一つの今回のチームが改良したのはそのデータ容量で、そのまま解こうとすると 262 terabytesのデータが必要となり、計算が遅くなってしまうのですが、これを圧縮することで11テラバイトまで下げることに成功しました。もちろん絶対に負けないわけではないのですが、一生のうちにできるポーカーの回数を考えると、負ける回数は0回以下になるそうです。

現実世界ではこのような不確定な要素が混じることが多く、ギャンブラーだけでなく、ゲーム理論の研究をしている経済学者にとっても、ビジネスマンにとっても興味深い内容だと思います。私がこのアルゴリズムの開発者だったらすぐにカジノに向かっていたでしょう。開発者の人はそうしなかったようなので、きっと人間ができているのでしょう。

元の論文
Heads-up limit hold’em poker is solved
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