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No.3 カフェインで記憶力増強

今回の論文
Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in humans
Daniel Borota, Elizabeth Murray, Gizem Keceli, Allen Chang, Joseph M Watabe, Maria Ly, John P Toscano & Michael A Yassa
Nature neuroscience  VOLUME 17 | NUMBER 2 | FEBRUARY 2014


簡単に言うと、
勉強した後にカフェインを取ると、記憶がしっかり定着しますという内容。

背景として、
これまで、実験前にカフェインを摂取すると認識能力を向上させるが、長期の記憶力にはほとんど影響がないといわれてきた。では後でカフェインをとるとどうなるかと思って実験してみた。メカニズムについては不明ですが、記憶の定着が良くなりました。受験生をはじめとして、覚えなければならないことがたくさんある人には朗報かも知れません。

具体的には、
何枚かの絵を被験者に見せ、その後200mg(ドリップコーヒー2杯分くらい)のカフェインを飲んでもらい、次の日に、昨日と同じ絵、全く違う絵、似ているけど違う絵を見せ、昨日見せたものか否かそれとも良く似た別物かを聞いたところ、良く似た別物の識別がしっかり出来るようになった。
さらに量を0, 100, 200, 300mgで比較したところ、200mg以上で記憶力が良くなっていた。

個人的には、
面白い実験だと思う。プラセボグループと比較して有意差はあるみたいだけど、劇的に効くというほどではなさそうなので、カフェインによる記憶力向上に過剰な期待はしないほうがよいかな。受験生は地道にがんばるべし。それが一番の近道です。

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

No.2 遺伝子改変iPS細胞の単離方法

今回の論文
Isolation of single-base genome-edited human iPS cells without antibiotic selection
Yuichiro Miyaoka, Amanda H Chan1, Luke M Judge, Jennie Yoo, Miller Huang, Trieu D Nguyen, Paweena P Lizarraga, Po-Lin So & Bruce R Conklin
Nature Methods (2014)


簡単に言うと、
デジタルPCRという技術を使って、抗体や抗生物質を使わずに、遺伝子改変したiPS細胞を選別することが出来る技術を開発しましたという内容。

背景として、
近年iPS細胞やSTAP細胞による再生医療に対する期待が急速に高まっている。このiPS細胞やSTAP細胞を用いた再生医療の場合。単純に、健康な組織を作って、病気になった組織ととりかえるという応用以外にも、遺伝病の治療に大きく役立つ可能性がある。遺伝病の場合、患者の細胞からiPS細胞やSTAP細胞を作っても、そもそも遺伝子(DNAの配列)に問題があるので治療にはならない。しかし、最近ゲノム編集と呼ばれる技術が発達している。細胞を殺すことなく、DNAの配列を細胞内で改変する技術で、これまで使われていたノックアウトマウスのように、交配させなくても遺伝子の改変ができるというものである。この技術をiPS細胞やSTAP細胞に適用すれば、問題となっているところを正しく直して、遺伝的に問題のない組織が作れると期待されている。ただ問題点として、思い通りにゲノムが改変される細胞の割合は1%未満でしかない。したがって、改変されていない細胞の中から、改変された細胞だけを集めてこなければならない。これまでは抗体や抗生物質を使わなければならず、抗生物質耐性遺伝子の導入など余計なものまで入れなければならなかった。この論文では今回開発した方法なら、そういった余計なリスクなしにゲノム改変細胞を回収できるという。遺伝子改変iPS細胞による再生医療がまた一歩現実味を帯びてきました。

具体的には、
デジタルPCRを使ってます。PCRとはプライマーと呼ばれる一本鎖DNAと鋳型となるDNAとDNA複製酵素を使ってDNAを増幅する技術で1970年代からあった技術です。デジタルPCRは、元となるDNAがどれだけあるかを正確に測定する技術で、サンプルを細かい水滴に分けてPCRすることで、サンプルが含まれているかどうかを各水滴に対して調べていくというもの。最近登場したばかりの手法です。細胞株の単離はまず、遺伝子改変した細胞を96ウエルプレートに播きます。その後各ウエルの一部をとってデジタルPCRによって改変された細胞が最も多かったウエル細胞を再度96ウエルプレートに播いて、デジタルPCRをやってというのを繰り返していくことで、最終的に改変された細胞を手に入れられるという内容。

個人的には、
前から名前だけは知っていたデジタルPCR。今回調べてみて最近の技術の発展の早さには驚かされました。メーカーの写真を見る限り、リアルタイムPCR装置よりコンパクトだし、絶対定量が簡単というのは良い。ランニングコスト次第ではリアルタイムよりも良いかも。インフルエンザの型とかSNPs検出をPCRベースで診断する技術が世の中にはあるけれど、デジタルPCRと組み合わせたらもっと良くなったりするのかな?そのうち遺伝子改変技術についても取り上げます。

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No.1 STAP細胞

今回の論文
Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency
Haruko Obokata, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P. Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato& Charles A. Vacanti
30 JANUARY 2014 | VOL 505 | NATURE | 641


簡単に言うと
弱酸性の溶液に漬けただけで分化した細胞をいろんな細胞に分化できる細胞に変換できますよという内容。

背景として
iPS細胞とかでてきて、人の細胞でも分化した細胞を未分化状態にできることが分かってきた。でも植物とかではもっと簡単に出来るし、人でももっと簡単に出来ないのかな?ということでやってみた。

具体的には、
血液中にあるCD45+細胞を集めて、弱酸性の溶液に漬けた後、ES細胞の培地に移すと、ES細胞に見られる特徴(形態、oct4の発現)がみられた。さらに詳細に調べてみると、他のES細胞特異的な遺伝子の発現やエピジェネティックなマーク(DNAのメチル化)もあった。STAP細胞をマウスに移植すると、テラトーマを形成しており、多能性があること(ただし、リプログラミングが不完全な細胞もいて、それをあらかじめ分離する必要がある)が確認できた。同様のことが他の細胞からもSTAP細胞が作れ、同様の性質があることが確認できた。さらにキメラマウスも作れin vivoで多分化能があることが示せた。確認できたES細胞との唯一の違いは、コロニーを作りにくいという点だったが、副腎皮質刺激ホルモンを培地に混ぜることで解決できた。

個人的には、
すごい発見だし、この事実をサポートする結果もほぼ完璧といってよいと思う。近年のiPS細胞の進化は目覚しく、これまでネックだった部分はかなり解消されてきたし、再生医療の中心になると思っていた。けどSTAP細胞はもっと簡単で早いし、今後の研究対象がiPS細胞からSTAP細胞に変わっていくと思う。再現性、ゲノムワイドなエピゲノム、トランスクリプトーム解析など、もっと詳細な研究は必要だろうけど。ただ、おそらくmuse細胞で見ていたものはSTAP細胞と同じの可能性が高いから、どの程度特許が認められるかという点も興味がある。STAP細胞に関してはどんな細胞かよりもどんな人が作ったかに焦点が当てられがちだけど、そこはどうでもよくね?と思

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このブログについて

このブログでは最新の科学に関する論文を解説する記事を書きます。

可能な限り分かりやすく、その発見が将来なんの役に立つのかを書いていきたいと思います。

分かりにくい、もっと詳しく、このニュースの解説をしてなどの意見もぜひお願いします!
私の専門の関係で、生物学の記事が多くなるでしょうが。

基本的には平日は毎日更新しますが、週末に増刊号を出すこともあるかも知れません。
みなさんよろしくお願いします。
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