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動く遺伝子による分化制御

今回の論文
DNA hypomethylation within specific transposable element families associates with tissue-specific enhancer landscape.
Xie M1, Hong C, Zhang B, Lowdon RF, Xing X, Li D, Zhou X, Lee HJ, Maire CL, Ligon KL, Gascard P, Sigaroudinia M, Tlsty TD, Kadlecek T, Weiss A, O'Geen H,Farnham PJ, Madden PA, Mungall AJ, Tam A, Kamoh B, Cho S, Moore R, Hirst M, Marra MA, Costello JF, Wang T.
Nat Genet. 2013 Jul;45(7):836-41

簡単に言うと、
トランスポゾンのサブファミリーのメチル化が組織特異的なエンハンサーとかかわっている

背景として、
トランスポーサブルエレメント(TE)はDNAのコピーを作り、他の位置に挿入するという不思議な因子で、ヒトゲノムの大半を占めており、転写因子が結合するなど発現制御等に役割を果たすと考えられている領域。今回、TE中のDNAメチル化に注目した。TEを928個のサブファミリーに分類し、様々な種類の細胞のメチル化パターンを見てみると、組織ごとに異なるサブファミリーでhypomethylationがおきていた。さらにその領域でエンハンサーのマークであるH3K4me1, p300が存在しており、レポーターアッセイでもエンハンサー活性を確認できた。その付近には組織特異的な転写因子も存在していた。TEって組織特異的な遺伝子制御ネットワークに重要ですという話。
メチル化領域の特定にはMeDIP-Seq(抗メチル化DNA抗体で沈降させる)とMRE-Seq(メチル化DNAを切らない制限酵素で処理し、非メチル化領域を特定する)を使用。TEをサブファミリー毎に分類してメチル化を調べたところ、組織特異的だった。特異性を示したTEはERV,LTR,DNAトランスポゾンファミリー(レトロトランスポゾンと違い、RNAになることなく動ける因子)だった。そのTEサブファミリーの分布を調べると、その組織に関わる遺伝子付近に見られた。
ヒストン修飾H3K4me1, H3K4me3, H3K27me3 , H3K36me3とH3K9me3)のChIP-Seqデータも同様に、TEサブファミリーごとに分類して調べた。すると、MREのピークが高くなる組織、サブファミリーではH3K4me1とp300のピークも高くなり、エンハンサーとなっていることが予想された。
試しに ERAP1の上流のLTR77とGFRA1の上流のLFSINEについて血球、胸部、脳の細胞で調べてみた。細胞はバイサルファイトでもhメチル化レベルを確認し、レポーターアッセイを行ったところ、LTR77でのmethylationレベルが低い血球細胞で強い発現が見られ、脳の細胞からは見られなかった。逆にLFSINEでのmethylationレベルが低い脳の細胞では強い発現が見られ、血球細胞からは見られなかった。したがってTEが遺伝子発現に関与しており、アノテーションが付いてなかったが、重要なものであることが判明。
さらに転写因子のChIP-Seqと比較すると、組織特異的な転写因子がhypomethylatedTEサブファミリーに見つかる傾向があり、TEがエンハンサーと共に転写因子の結合も制御している可能性が示された。

個人的には、
TEがうまいこと組織特異的な遺伝子の上流に入ったなというかんじ。もしかしたら特定のTEサブファミリー付近にある遺伝子が変化してもうなった可能性もあるけど、トランスポーザブルであることを考えると、TE自体が特定の遺伝子の上流に移動した可能性のほうが高いだろう。TEは進化との関わりも深いし、進化の途中でTEが適切な遺伝子付近に来ることで単細胞から複雑な多細胞生物になったのかも。他の下等な生物でもやって欲しいね。
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