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STAP細胞問題をまとめてみた

今ワイドショーを賑やかしているSTAP細胞の問題。このブログは論文を紹介するためにあり、ゴシップネタを広めるためではない。だが、一番最初に紹介した論文がSTAP細胞の論文だったこともあり、触れないわけにはいかないということで、この問題についてここまでの経緯についてまとめてみた。うわさレベルの、科学と関係ない下世話な話は書きません。

そもそもSTAP細胞とは?
酸性の液につけるなどのストレスを与えてつくる細胞で、いろいろな細胞になる能力をもっている。普通の体細胞はそんな能力はなく(皮膚の細胞が急に脳の細胞になったりはしない)、受精卵などの特殊な細胞にしかない能力をもっており、神経を作れば脊髄損傷で動かなくなった体が動かせるようになったり、肝臓が病気になったら肝臓を作り出して取り替えて治すといういわゆる再生医療が可能になると期待されている。その意味ではiPS細胞と同じ。

iPS細胞との違い
生物学的には
・iPS細胞は特定の遺伝子を強制的につくらせるという、細胞の中から操作してこの能力を与えたのに対し、STAP細胞は細胞外の刺激により達成したという点
・iPS細胞はどんな細胞にでもなれるとは言うが、胎盤だけは作れない。、STAP細胞からは胎盤も作れた(胎盤は医療には用いられないが、発生学の観点から胎盤が作れるかは重要な問題)。

医学的には
・作成するのにかかる時間が非常に短く、(STAP細胞が数日に対し、iPS細胞は2-3週間くらい)簡単な手法であるため、急に必要になった際に便利であるという点
・iPS細胞ほど研究が進んでいないため、安全性などの点に現状では不安がある

ちなみにiPS細胞はがん遺伝子を入れなきゃいけないとかウイルスを使うから危険、作製効率が低いとの批判があるが、これらの問題はほぼすべてクリアしていている。iPS細胞は臨床段階まできていて、(理研CDBの高橋政代先生が今年度臨床試験をすることを発表している)ノウハウや安全性に関するデータがかなり蓄積されている。

STAP細胞問題の流れをキーマンの主張と共に時系列で追って見る(丹羽先生は無実なので除く)
①1/29、NatureでSTAP細胞の論文2報が公開される。なぜか割烹着が注目される。
理研:STAP細胞はある
小保方博士、バカンティ教授:STAP細胞はある
若山先生、笹井先生:STAP細胞はある

②2月中旬ごろ、論文に使われている画像に意図的に改変した形跡があるとpubpeerで指摘される。同時期にNatureの編集者が他の研究者にコンタクトをとったところ、再現できていないということを発表。疑われ始める。
理研:改ざんした形跡はあるが、STAP細胞はあるという結果は変わらない。
小保方博士、バカンティ教授:STAP細胞はある。
若山先生、笹井先生:STAP細胞はあるとおもう。ただ、小保方さんと連絡が取れない。

③3月上旬、さらに昔の論文の画像の引用、方法欄にコピペなどの不備、および学位論文でもコピペが見つかる。小保方博士の研究倫理が低く、論文の内容も非常に疑わしいという風潮になる。あげく、下衆な報道まではじまる。
理研:改ざんしたか調べるため、調査委員会を立ち上げる。未熟な研究者がNatureにのせる論文を書くロジックがあるとも思えず、他の共著者の責任も調べる。詳細なプロトコル(実験手法のこと。料理でいうところのレシピのようなもの)を発表する。論文の撤回も視野に入れる。
小保方博士、バカンティ教授:STAP細胞はある、論文の撤回は必要ない(一部報道で小保方博士が論文撤回に同意したとあったが、後に否定)
若山先生:真実を知りたい、STAP細胞として受け取った細胞を第3者に調べてもらう。論文も撤回すべき。(笹井先生はコメント無し)

④3/25、若山先生がSTAP細胞として受け取った細胞は、他の株のマウスのES細胞という報道がされる
全員ノーコメント

⑤4/1、理研の調査委員会の結果発表。小保方博士は改ざんを行っており、若山先生、笹井先生は管理責任に問題があると発表
理研:改ざんしていた。STAP細胞はあるか不明
小保方博士、バカンティ教授:画像に関してはただの取り違え、コピペは引用するのを示し忘れただけ。STAP細胞はある
若山先生、笹井先生:コメントがないため不明

この後小保方博士、バカンティ教授が公の場でコメント。主張は変わらないが、ねつ造ではないという証拠もなし。小保方さんは理研の調査結果に不服を申し立てる旨を述べる。

⑥4/16、笹井先生記者会見
理研:改ざんしていた。STAP細胞はあるか不明
小保方博士、バカンティ教授:画像に関してはただの取り違え、コピペは引用するのを示し忘れただけ。STAP細胞はある。
笹井先生:責任を感じている。STAP細胞はあるといえるだけの証拠はないが、有力な仮説である。

問題点は
①画像に改ざんや盗用がある
完全にアウト。本人は取り違えただけといっているが、単なるミスだろうが悪意があってそうしたのであろうが関係ない。文章と画像が一致していないのであれば客観的な証拠にはなりえない以上なんの意味もない。取り違えただけというのなら、すぐに本来のせるはずだった画像を提出して訂正する必要がある。それができないのなら、客観的な証拠がなく、科学論文とは言えないので撤回するべき。

②方法欄のコピペについて
引用(盗用?)元の論文と全く同じ方法でやっているのなら、事実を記載しているという意味では問題ない。でもその場合引用符と共に引用論文を明記するべきであり、客観的事実に影響はしないが、科学倫理的には問題あり。

③STAP細胞が再現できない、STAP細胞は存在するのか
まず、STAP細胞が存在しないと証明することはほぼ無理。勘違いしないでほしいのだが、再現できないからSTAP細胞は存在しないというわけではない。おかしな話と思うかもしれないが、論文に書かれている通りにやっても同じ結果が出ないということはよくある話で、簡単に再現できるほうがまれ。でも何か特別変えたわけではないのに、また同じ実験をやったら実験がうまくいくようになることもあり、慣れやコツが必要だったり、ごくわずかな違いが違った結果をもたらすことがあるのだ。実験とはそういうものである。そのため、再現ができない=ねつ造とは限らないのだ。
仮にSTAP細胞が存在した場合、証明するのはずっと楽。一番良いのは他の人がSTAP細胞を作り出すこと。次に良いのは小保方さんが第3者監視のもとSTAP細胞を作り出すこと。一番証拠として弱い証明方法が改ざんのしていない画像を示すこと。ラボノートもほしいところだが、書いていないそうなのでしかたない。今日のニュースで小保方博士の弁護人が「載せるはずだった画像を提出する。これさえあればねつ造疑惑は吹き飛ぶ」と言っているそうだが、決して吹き飛ばない。結局のところ、正しいという画像もES細胞を使った可能性を否定できないからだ。なので証拠能力としては弱い。

捏造事件の歴史と将来について考える
ねつ造事件というのは昔からあって、ここ20年くらい見ても大きなねつ造事件だけでもベル研の超伝導ファン教授のES細胞など有名どころだけでもたくさんある。ねつ造されると査読をしていようが何をしようが見抜くのは非常に大変で、見抜くことよりも防ぐことが大切。昔から問題視されているが、ねつ造事件を完全に防ぐ方法はなく、せいぜいラボノートを徹底するくらいのことしかない。それでもラボノートに書いた内容が事実とは限らないし、第3者が全てのデータを事細かく見るなんてとてもできない。結局のところ各個人の倫理観に頼るしかないというのが現状だ。今後も完全に防ぐ良い手立ては出ないだろう。
何か捏造を防ぐ良い方法があったら教えてください。良い方法があるなら採用したいです。

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テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

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