スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ガン免疫療法でTCRのレパートリーが増える

みなさんは免疫療法ってご存知ですか?簡単に言うと体の免疫機能を活性化させて病気と闘わせるという治療方法です。昔からそのような考えはあり、ガンの免疫療法がよく話題に出ます。ただ、今のところ民間療法(病院がやる治療法ではない)の一種で、これを食べれば免疫力が上がるとか謳っているあやしいものが多いです。しかし、最近怪しくない、ちゃんとガンの治療ができる方法が出来上がってきているのです。もともとヒトの体にはガンを異物として認識し、排除しようとする力は備わっています。しかし、ガン化していても元は自分の細胞なわけで、免疫機構のブレーキ役の細胞(制御性T細胞)がその力を弱めてしまいます。そこで近年、制御性T細胞の表面にあるCTLA-4またはPD-1というタンパク質を抗体でブロックし、ガンに対する攻撃力を最大限にしようという研究がすすんでおり、臨床試験でもすでに末期という状態のガン細胞が縮んでいくなど良い結果がえられているそうです。もちろんあまり予後が良くない人もいますし、不思議なことに腫瘍が縮む前に一度肥大化する現象がみられたり、治療を途中で止めてもガンの縮小が続くなど、体内で何が起きているか未知な部分が多いです。今回、そのメカニズムを解明するうえで興味深いことが明らかになりました。

CTLA-4抗体による治療を行った患者の血液からTCRの種類を調べました。 TCRとはT細胞受容体のことで、特定の抗原を認識するための遺伝子です。この遺伝子の配列が再構成されることにより抗原を認識できます。TCRの配列のレパートリーが増えていおり、治療を続けると数か月後でも増え続けることが明らかになりました。ただ、レパートリーが増えれば予後がよくなるというわけではなく、ある一定値くらいの多様性を維持している人が予後が良好で、逆に多すぎた人はその後長く生きることができませんでした。

免疫療法が効く、効かないというのはTCRの多様性とその維持にかかっているらしいということがわかってきました。ただ、どうしてそのような個人差ができるのか、どうすればその差をなくせるのかは不明です。今回はCTLA-4抗体による治療の結果ですが、PD-1抗体でも同様なことが起きている可能性があります。また抗体による治療は非常にお金がかかる(ちゃんとやるには12万ドル、1200万円くらいかかるらしい)ため、化合物によるCTLA-4やPD-1の阻害ができるといいですね。

元の論文
Improved Survival with T Cell Clonotype Stability After Anti–CTLA-4 Treatment in Cancer Patients
スポンサーサイト

レーザーで歯が再生できる

情報元
Zap! Laser Regrows Teeth

iPS細胞をはじめとする再生医療に現在注目が集まっています。理論的にはiPS細胞で体のあらゆる部分を再生できますが、現実問題としてiPS細胞の作製、培養にかかる費用的な負担や、作った組織の外科的な移植による患者の体力的な負担、安全性など無視できない大きな問題があります。なのでもっとシンプルに体を再生できる手法があると良いのです。今回、低出力レーザーで歯の再生ができることがラットで確認できました。

レーザーは既に歯医者では使われています。ただし、それはレーザーのエネルギーをドリルのかわりに使うと言う手法でした。今回の研究ではラットのちょっとだけ欠けた歯に低出力レーザーを照射すると歯の象牙質が形成されました。メカニズムを調べていくと、まずレーザーによって活性酸素が作られることが確認できました。そしてこの活性酸素が成長因子であるTGFβを活性化します。そしてこのTGFβが歯の幹細胞の分化を誘導しているため、歯が再生されることが分かりました。この効果はTGFβ受容体をノックアウトすると見られませんでした。

重要なことはもともと体内にある幹細胞を上手に誘導できればiPS細胞なしでも再生できる可能性があると言う点。今回の研究はラットによるものですが、レーザーを導入している歯医者もあるため、ヒトで同様の効果が認められれば歯の再生はすぐに可能になると思います。虫歯になりやすい人は歯の再生が可能になる日まで何とか自分の歯を残して起きたいものですね。

元の論文
Photoactivation of Endogenous Latent Transforming Growth Factor–β1 Directs Dental Stem Cell Differentiation for Regeneration

テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

ヒトプロテオームのドラフト版が公開

1995年に始まったヒトゲノムプロジェクト以降、大規模なデータを生み出し、データベースを作って他の研究者に役立ててもらうというタイプの研究が増えました。ヒトゲノムプロジェクトのほかにもヒトエピゲノム、ヒトマイクロバイオームプロジェクトをはじめ、アメリカのENCODEや理研のFANTOMなどビッグデータを生み出した(出している)プロジェクトがあります。今回、ヒトプロテオームに取り組んだ2つのグループの成果のドラフト版が発表されました。

方法はどちらも基本的には同じ。様々な組織、培養細胞からタンパク質を抽出し、トリプシン(タンパク質分解酵素)でペプチドにし、質量分析装置でペプチドの配列を決定していくというもの。ここでは2つのグループのうち1つに注目したいと思います。今回の研究では19,629個と考えられているタンパク質のうち92%に相当する18,097個、アイソフォームでは86,771個中19,376個を検出できました。染色体ごとにみてみると、Y染色体と21番染色体のタンパク質はあまり検出できませんでした。これはトリプシンが効かないタンパク質が多いためと考えられます。以前からタンパク質として存在することが確認できた遺伝子の97%はタンパク質として検出できました。しかし、予測のみとか不明なものは半分程度にとどまり、予想される長さよりも短いものでした。これを調べていくと翻訳されないlincRNAと思われていたところに由来しており、lincRNAが転写されペプチドが作られているものと思われます。
プロテインシーケンスをしていくと、だいたい16,000-17,000個ぐらいで飽和してきます(ユニークなタンパク質が検出されにくくなるという意味)。そのうち10,000-12,000個は様々な細胞でみられ、細胞維持等に使われるもので、残りが細胞特異的な制御をおこなうものでした。今回検出できなかったタンパク質は偽遺伝子であった可能性や、サイトカインのように細胞外に排出されたものであると考えられます。今回は様々なサンプルがあるため、その発現比較を行いました。当然ながらGAPDHのようなハウスキーピング遺伝子はほぼすべての細胞で発現しており、組織特異的なものは特定の組織でしか見られませんでした。PCAを行うと、組織ごとに分類できました。
さらに他のデータとも比較していきました。RNA-Seqと比較すると、mRNA量とタンパク質の量は遺伝子ごとに違いましたが、どの組織でも遺伝子ごとにmRNAとタンパク質との比率はほぼ一定であり、その係数さえ分かればmRNA量からタンパク質の量を予測するのは可能みたい。がん細胞における抗がん剤に対する感受性と耐性を調べていくと、S100A4やANXA6の発現が高いとEGRF阻害剤に対する耐性がある傾向がありました。タンパク質は他のタンパク質と複合体を作って機能を発揮することも多いため、複合体の構成を調べることができるかproteasomeを例に調べてみました。この例ではb1-b7という7種のタンパク質のうち、b1i,b2i,b5iに置き換わる場合があります。発現相関解析を行うと、通常のものとそうでないものがどのくらいあるか知ることもできました。

今回紹介しなかった論文でも似たような結果が示されています。個人的にはペプチドを作るlincRNAの存在、mRNAに遺伝子ごとの定数をかければタンパク質量が見積もれると言うのは興味深い。この論文では翻訳後修飾のデータは不十分のようですが、今後増えていくでしょうから期待したいですね。

元の論文
Mass-spectrometry-based draft of the human proteome(今回紹介した論文)
A draft map of the human proteome

野生の動物だって走るのが好き!

みなさんちゃんと日頃から運動してますか?運動は体だけでなく脳を作るうえでも重要です。しかし、私たちが運動をしようと思ってもなかなか長続きしません。人の場合、ダイエットして異性にもてるため、スポーツの試合で勝つため、ビールをおいしく飲むためなど、運動をすることによって得られる見返りを期待してがんばるケースが多いですが、今回マウスは何の見返りがなくてもランニングをすることが分かりました。

行った実験はいたってシンプル。自然の中にマウス用のランニングホイールを置いておき、野性のマウスが利用するかどうかをテストするというもの。はじめはホイールの近くに食べ物も置いておきました。すると、このホイールは頻繁に使用されていました。ちなみにマウス以外の動物も利用しており、カエルなども含まれていました。ホイールの使用量はかごの中で飼っているようなマウスと同等な量を使っていました。さらにその後食事を1年間置かないでおいたのですが、ホイールを使うマウスは減ったものの、それでもある程度ホイールを使うマウスがいました。無報酬でもランニングをしているということは、ランニング自体を楽しんでいるようです。

一部の種類のマウスはホイールランニングをさぼりがちらしく、遺伝的な差が運動好きのマウスとあるのかもしれません。みなさんは遺伝的に運動をさぼりがちな人ですか?サボり屋さんもランニングを楽しんでみませんか?

元の論文
Wheel running in the wild

硬化症治療薬でトラウマ治療

フィンゴリモドという多発性硬化症の治療のために経口投与できる薬があります。この薬は免疫抑制効果があることが知られていますが、神経にはどんな影響があるのか調べたところ、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、トラウマを消すのを促進する作用がありました。以前、ヒストン脱アセチル化阻害剤がトラウマ治療に役立つという記事を紹介しましたが、フィンゴリモドにも同様の作用がありそうです。

培養細胞にフィンゴリモドを投与すると、細胞核内でSphK2という酵素でリン酸化することが確認できました。さらに調べていくと、細胞内でアセチル化レベルが高くなっていました。アセチル化を促進しているのか、脱アセチル化を阻害しているのかを調べてみると脱アセチル化(特にclass I)酵素が阻害されていました。ちなみにリン酸化されていないと阻害作用はありません。マウスに投与してみると、脳の関門を通り抜けて蓄積します。海馬などの記憶に重要な領域でもヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、学習や記憶に関連する遺伝子の発現が変化していました。それも免疫抑制のためとは別の経路をたどりつつ、トラウマをより早く打ち消していました。SphK2をノックアウトするとアセチル化レベルが低く、フィンゴリモドを与えてもトラウマが早く打ち消せなくなっていました。

フィンゴリモドはすでに承認を受けた薬で、人での実験はしてませんが、すぐにでもPTSD治療に使えるかもしれません。フィンゴリモドを作っている会社は一度で二度おいしいと喜んでいることでしょう。

元の論文
Active, phosphorylated fingolimod inhibits histone deacetylases and facilitates fear extinction memory

クシクラゲはエイリアン?クシクラゲのゲノムは謎に満ちていた

情報元
Jelly genome mystery

クシクラゲはクラゲと名前は付いていてもクラゲとは別の生き物です。今回、この生物のゲノムおよび遺伝子発現を調べると、他の生物にはない特徴だらけであることが分かりました。

まず、通常の動物で見られるような免疫、発生、神経系の機能に関わる遺伝子が存在しないのです。これまで、クシクラゲの神経は光や獲物の感知や運動ができることから、他の動物と共通の祖先から枝分かれしてきたんじゃないかと考えられてきたのですが、ゲノム配列から考えると他の動物との近縁ではないようでした。他のクシクラゲ類の生物の遺伝子発現を見ても、他の動物で見られるmiRNAがなく、やはり特殊な生物であることを支持していました。特に神経系は特殊で、神経伝達物質がわずか1つまたは2つしかありませんでした(通常主要なもので10個くらいある)。ただし、未知の神経伝達を利用している可能性はあるとのこと。さらに通常の神経の遺伝子と特殊な神経の遺伝子の両方が認められることから、共通の祖先から枝分かれした後、クシクラゲの神経はもう一度独自の進化を遂げたのではないかとのこと。

本気か冗談か分かりませんが、natureに対して著者はクシクラゲはエイリアンじゃないかとも言っています。あまりにも他の動物と違う部分が多いので気持ちは分かります。でも、共通の祖先なんて存在せず、一度に複数の生命が誕生したという説のほうが現実味はあると思う。クシクラゲにも脳っぽいものがあるみたいだから、特殊な神経でどんな脳ができているのか興味深いですね。深海とかにはこの世のものとは思えない生物もたくさんいますから、たとえクシクラゲがエイリアンでなくても深海にはエイリアンの子孫がいるかもしれません。

Pleurobrachia_1400pix.jpg
(写真は情報元の記事より。ゲノムも見た目もエイリアンっぽいクシクラゲ。)

元の論文
The ctenophore genome and the evolutionary origins of neural systems

コーディングパターンのちがう生物がいることが判明

情報元
Microbes defy rules of DNA code

生き物はどんなものであってもDNAからRNAを介してタンパク質を作ります。RNAからたんぱく質を作る際に、3つの塩基で一つのアミノ酸をコードしており、このコードパターンをコドンといいます。実はこのコードパターンは全生物共通で、ヒトでもマウスでも大腸菌でも同じです。なので例えばAUGというRNAの配列が出てくれば、どんな生物の細胞内であってもメチオニンが作られます。この全生物共通のルールと思われていたコドンが少し違う生物がいることが確認されました。

実はこれまでごく少数ですが、すでにコドンのパターンが異なる生物が確認されていました。その生物はいずれも培養可能なものですが、原核生物の99%は培養できないといわれています。そこで今回はデータベースを用いて1776の地域と17か所の人の体にいる生物のコドンの特に終止コドンを調べました。方法を簡単に言うと、1kb以上の長さの遺伝子をコードする部分がを集めてきて、出来上がるタンパク質の大きさを計算しました。通常なら数百アミノ酸をコードしているはずですが、仮に極端に短いフラグメントになるかならないという計算になれば、それは終止コドンがアミノ酸をコードしているものに変化しているだろうというものです。今回調べられた生物の中では約10%に変化が起きており、そのうち半分は人にくっついている生物でした(人由来のものは全体の10%だけです)。終止コドンには3種類あり、オーカー(UAA) 、オパール(UGA) 、アンバー(UAG)と名前が付けられています。どの終止コドンに変化が起きているかを生物種と共に比較すると、バクテリアではいずれもオパールに変化が、真核生物ではオーカーに変化が、ウイルスではアンバーもしくはオパールに変化が起きていました。ちなみに淡水生物のほうが海水生物よりも変化が起きやすくなっていました。さらに詳細に見ていくと進化とのかかわりが深いことが確認できました。今回調べた中にはファージなどのウイルスが含まれています。ファージとバクテリアのコードパターンが違えば、ホストの細胞内ではファージの増殖に必要なタンパク質を作れなくなってしまいます。どうやってこの問題を回避しているか調べるために、アンバーのコードに変化が起きているファージを詳細に調べました。このファージはアンバーが多く出てくる領域と少ししか出ない領域があり、少ないところにRF2という遺伝子が見つかりました。RF2はオパールのコードに変化が起きているバクテリアに見られる遺伝子で、あることからRF2の発現によってオパールに変化が起きたような状態にスイッチするのではないかと提唱しています。著者の提唱するモデルとしては、ファージが感染後、RF2を含め感染の初期に必要なタンパク質がアンバーが終始コドンでない状態で作られ、その後RF2の働きによってオパールが終始コドンではない状態となり、溶菌などに必要なタンパク質が作られるというものです。

今回かなりの生物で終止コドンに変化が起きていることがわかりました。今回のモデルはウイルスの視点から提唱していますが、バクテリアが身を守るために進化したという可能性もあります。いつごろそしてどのようにコードパターンを変化させたのか興味深いです。合成生物学にとっても重要な発見となるでしょう。

元の論文
Stop codon reassignments in the wild

新たなマラリアワクチンが開発された

情報元
New Malaria Vaccine Shows Promise in Mice

マラリアは熱帯地域を中心に蔓延しているPlasmodiumという原虫によって引き起こされる感染症で、蚊が媒介しています。このマラリアの原虫が体内に入るとまず肝臓に行き、そこで増殖します。その後赤血球に感染し、そこで再度増殖し、最終的に赤血球から出てきて血液中に出てきます。こうしてまた別の蚊に入り込んで他の人に広めていきます。これまでもすでにマラリアのワクチンはいくつか開発されており、グラクソスミスクラインのRTS,Sはマラリア原虫が赤血球に感染するのを防いでおり、重篤な症状を示す人が半分になるなど、効果をあげています。

不思議なことに、マラリアが蔓延している地域で、ほとんど症状がでず、血液内のマラリア原虫が少ない人たちがいます。今回はそんな人たちだけが持つ抗体を調べていきました。その結果、重篤な症状を示す人たちは持っておらず、症状を示さない人たちは持っている抗体が3種類ほどありました。一つは赤血球への感染にかかわるタンパク質をターゲットとしたもので、現在もワクチンのターゲットとして開発が進んでいるものでした。もう一つがPf SEA1というタンパク質に対する抗体でした。このタンパク質の機能はこれまで不明でしたが、どうやらマラリアが赤血球内で増殖し、血流に飛び出すのに必要なタンパク質であることがわかりました。そこでPf SEA1に対する抗体を作製してみたところ、in vitroでマラリアが赤血球から飛び出すのを阻害できることを確認できました。ワクチンを作り、マウスのin vivoでの効果を確かめたところ,コントロールに比べ、マラリアに感染させても約2倍長生きできました。

今回の結果は意外なものでした。感染するときは十数秒程度で完了するのに対し、PfSEA1を提示し、赤血球から飛び出すまでの時間は数時間あるため、良い効果が得られたのかもしれないとのこと。原虫による病気は非常にたくさんあるので、今回のように感染する時ではなく発症するのを防ぐというアプローチも有効なのかもしれません。ありがたいことにPf SEA1の遺伝子の配列の多型(個体による配列の違い)は少なく、効果を示す人が多い可能性が高いです。

元の論文
Antibodies to PfSEA-1 block parasite egress from RBCs and protect against malaria infection

胎盤のマイクロバイオームが早産の原因かも

情報元
Placenta Harbors Bacteria, May Impact Fetal Health

昨日に引き続きマイクロバイオームのお話です。今回はこれまで無菌状態であると考えられてきた胎盤のマイクロバイオームです。

これまで胎盤は無菌状態で、生まれるときに膣等で菌にはじめて曝されると考えられてきました。しかし、最近生まれたての子供の腸内にすでに細菌がいるようだという報告があり、どこからこの菌はやってくるのかと議論されていました。今回、これまでの考えに反して量は少ないものの、胎盤にも細菌叢が形成されていることが分かりました。その構成を見てみると、皮膚、腸、口、子宮などと比べてみてもどれとも違うものでしたが、口の中に最も近い構成でした。特徴としては、プロテオバクテリアが多く、 テネリキューテスが胎盤にのみ見られる点です。次に出産するタイミングごとに分けてみると、早産の場合とそうでない場合には胎盤での細菌叢の構成が違い、早産の場合には ブルクホルデリアが多く、パエニバチルスが少ないことが分かりました。

口内の細菌叢と胎盤の細菌叢が似ていることから、口内の細菌が血液等を通して胎盤に運ばれているのではないかと考えられます。じつはこれまでに歯周病と早産に相関関係があることが知られており、今回明らかになった細菌叢が早産の原因になっている可能性があるのです。胎盤は妊娠初期に形成されるので、これから子供を作る方はまず歯医者に行くことをお勧めします。あと抗生物質は胎盤の細菌叢を変える可能性があり、妊娠期間の服用はお勧めできません。

元の論文
The Placenta Harbors a Unique Microbiome

妊娠期の母親の食事は腸内細菌にも影響する

先日、妊娠期の母親の食事の影響は遺伝するというエントリで妊娠期の食事によって子供にエピジェネティックな変化が起きることを紹介しました。今回、新たに子供の腸内細菌にも影響を与えることが明らかになりました。

今回の実験ではアカゲザルを用いています。妊娠期に通常の食事を与えた場合と高脂肪食を与えた場合を比較すると、母親の腸内では高脂肪食によりブラキスピラという細菌がほとんどいなくなり、属レベルで見てみると、トレポネーマ属(ブラキスピラもここに属する)が減り、プレボテーラ等は増えていました。次に子供の腸内細菌に注目すると、食事によって腸内細菌の構成が変化しており、高脂肪食ではカンピロバクターがほとんどいなくなっていました。授乳期以降に通常の食事を与えても、腸内細菌の構成を元に戻すことができず、一生影響を与える可能性があります。

この腸内環境の変化が健康にどの様に与えるかは不明です。もしかしたら妊娠期の食事をコントロールすることで直せるあるいは防ぐことができる病気があったりするかもしれません。

元の論文
High-fat maternal diet during pregnancy persistently alters the offspring microbiome in a primate model
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。