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子供に抗生物質を与えると肥満になる

肥満は心臓や内臓、血管に負担がかかり、様々な病気のリスクを高める、無視できない病気に先進国ではなっています。人によって太りやすい、太りにくいという体質がありますが、これは遺伝によるもの、腸内細菌によるもの、食事によるものなど多様な要因があると考えられています。今回、マウスで幼少期の抗生物質の投与が腸内細菌叢を変え、肥満になりやすくなることが明らかになりました。

今回の実験ではマウスに生まれてから4-8週間の間、少量のペニシリンを投与しました。これによりペニシリンを投与したマウスでは乳酸菌などの有益と考えられる細菌が腸内から減っていました。その後2週間程度すると、腸内細菌叢は元に戻っていました。しかし、高脂肪食を投与すると、ペニシリンを投与されたことがあるマウスは異常ともいえるほどのスピードで太っていきました。特にメスのマウスではその影響が色濃く出ていました。ちなみに抗生物質を与えられたことのないマウスでは2倍量の高脂肪食を与えてもさほど体重の増加は見られませんでした。子供の時に抗生物質を投与されても普通の食事を与えられたときや大人になってから抗生物質を投与された場合も体重の増加は認められませんでした。ただ、これだけでは腸内細菌叢が原因ではなく、抗生物質により代謝系に異常が起きたとも考えられます。そこで、幼少期に抗生物質を投与されたマウスの腸内細菌を他の、抗生物質を投与されたことのないマウスに移植しました。すると、高脂肪食で体重の増加が見られ、腸内細菌が原因であるということが示されました。

重要なポイントとして、抗生物質の量が少なくても細菌叢をが変わってしまうという点です。腸内細菌叢は太りやすさ以外にも、免疫系にも重要な役割を担っています。幼少期に抗生物質を投与したことによって、いわゆる免疫力の低い体になってしまう可能性もあります。実際、1歳の時に抗生物質を投与されたことがある子供はぜんそくになりやすいというデータがあります。子供の将来のことを考えると、病気になってもいたずらに抗生物質を使うべきではないと言えます。(もちろん使うなと言っているわけではありません。)

元の論文
Altering the Intestinal Microbiota during a Critical Developmental Window Has Lasting Metabolic Consequences

テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

ゲノム編集による遺伝子治療

以前、幹細胞にゲノム編集を行った例を紹介しましたが、今回、これを実際の遺伝病患者由来のiPS細胞で行ったという論文がありました。

今回のターゲットとなった遺伝病はサラセミア。あまりなじみのない病気ですが、世界中に患者はいて、特に地中海付近でよくみられる病気です。この病気はHBBという、赤血球の分化に必要な遺伝子に変異が入ることで起き、赤血球の前駆細胞が赤血球に分化できずに貧血を起こす病気です。

今回の実験ではサラセミア患者の皮膚をとり、iPS細胞を樹立しました。その後CRISPR/Cas9という技術にてDNAを切り、正しい配列とマーカーとpiggybagと呼ばれる配列を挿入します。その後、セレクションをかけてpiggybacで余計な配列を取り除くことで、余計な物を入れることなく変異だけをを元に戻しました。遺伝子操作をしてもオフターゲット(目的以外のDNAの配列が組み変わること)もなく、分化多能性を保っていました。その後赤血球の前駆細胞に誘導することにも成功しました。もちろんHBBの変異は消えたままです。
コストや安全性の問題がまだありますが、遺伝病の遺伝を食い止めたり、遺伝病の根治治療がいよいよ可能になりそうです。

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ガンをバクテリアで治す

情報元
Bacteria shrink tumors in humans, dogs

現在日本で死因として最も高いガンですが、バクテリアを使って治すという方法に関する論文が発表されました。

ガンをバクテリアを使って治すなんて手法は聞いたこと無いという人が多いかと思いますが、実はこの手法の研究の歴史は意外と古く、実は200年以上前まで遡ることが出来ます。この分野で大きな進歩があったのが、1890年代ごろにウィリアム・コーリーという人が死んだレンサ球菌(コーリーの毒と呼ばれる)を腫瘍に直接注射したり、血液注射することで多くのがん患者を治療したと言われています。その後、外科治療や放射線あるいは薬による治療が出てきたため、コーリーの毒による治療は行われなくなりました。ただ、コーリーの毒による治療はなかなか効果的で、現在の抗がん剤治療に匹敵するレベルだったそうです。

この方法を見直そうとする人たちもいて、今回はボツリヌス菌を試してみたそうです。腫瘍組織内は酸素が少ない状態で、ボツリヌス菌はそういった環境が好みであることから、効果的にボツリヌス菌が腫瘍を攻撃してくれるのではと考えたようです。今回の実験でマウスでよい結果が得られ、より人に近い犬を使って行いました。ガンを患った16匹の犬にボツリヌス菌の胞子を注射したところ、6匹で腫瘍が消えるあるいは小さくなり、5匹では腫瘍の成長が止まり、残りは腫瘍を取り除くのに外科手術が必要でした。

この結果からさらに人にも試して見ました。最初の患者は体の複数箇所にガンが転移してしまった人です。犬に投与したときの10分の1程度の量でもガンが収縮していったそうです。ただ、予想外の副作用として腫瘍が上腕骨内に移動し、物理的な力に弱くなっていました。結果的に患者さんは転移した腫瘍のために亡くなってしまったそうです。

著者らはバクテリアの遺伝子を組み換えて副作用を減らせないかと考えているそうです。厳密な作用機構が不明で、副作用の心配も拭いきれていませんが、今後がん治療の主要な手法となりうるアプローチですね。

元の論文
Intratumoral injection of Clostridium novyi-NT spores induces antitumor responses

テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

未熟児の泣き声に隠されたメッセージ

情報元
Premature baby's shrill cry may be sign of something deeper

赤ちゃんにとっては泣くのが仕事なんて言われるぐらい、赤ちゃんはよく泣きます。そこのこめられたメッセージはお腹すいたとかオムツ替えてなど様々です。じつは赤ちゃんの泣き声には隠された秘密がある可能性を示唆する報告がされました。未熟児の泣き声は通常の赤ちゃんよりも高いというのです。

これまでにも通常の赤ちゃんで、異常に甲高い泣き声が乳児の代謝や神経の発生に伴って発せられることが知られていました。今回は同じ年頃の未熟児と通常の赤ちゃんの泣き声の高さを測定しました。ちなみに無理やり泣かせたのではなく、自発的に泣いたときの泣き声です。両者を比較すると、未熟児のほうが鳴き声のピッチが高かったのです。原因は体が小さいからというわけではないそうです。著者らは脳から腹の付け根まで伸びる迷走神経の発生が原因ではないかといっています。迷走神経が活性化すると声が低くなるといわれており、未熟児は迷走神経の活動が不十分なために泣き声が高いのではとのことです。

未熟児にマッサージセラピーなるものを行うと、迷走神経が活性化し、摂食障害が緩和し、体重が増えたという報告もあります。迷走神経の不十分な発生が未熟児の障壁であり、それが声という形で表されているのかもしれません。本当に迷走神経が甲高い声の原因かは不明ですが、声の高さから迷走神経の活動度合いや未熟児の障害がどの程度重いのか、あるいは軽減したのかという指標になるかもしれません。

元の論文
Preterm birth is associated with an increased fundamental frequency of spontaneous crying in human infants at term-equivalent age

テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

太古の虫が地球を変えた

情報元
Ancient worms may have saved Earth

カンブリア期が始まった5億6千万年前、多細胞生物というのが地球史で始めて出てきたころだと言われています。多細胞生物が生きるには適切な量の酸素が必要です。どうして適切な量が維持できたのでしょうか。今回、著者らは海底にすむ芋虫のような生物が一定に保っていてくれたのではという報告を出してきました。

著者らはこれまでに海底の岩から得たデータがあって、その解釈に悩んでいたそうです。実はカンブリア期が始まって3000万年前ごろから酸素の量が減っているということを示唆する結果が得られていたのです。今回の研究ではモデルとしては芋虫のような生物がカンブリア期の初期に地球の化合物の組成を変える複雑なイベントを行っていたというもので、以下のようなものです。海底の堆積物にはバクテリアがすんでいる(バクテリアは酸素が必要なため表面付近にいる)ー>芋虫のような生物が動くことでバクテリアが舞い上がるー>バクテリアが酸素やリン酸を溜め込むー>バクテリアが再度落ちてくることで海水の中のリン酸が減るー>藻類がリン酸が得られず、成長できないー>光合成できる量が減るー>酸素が減るー>芋虫のような生物の数が減ったり活動が低下するー>酸素が増えるというサイクルだそうです。つまりカンブリア期が始まって3000万年後に酸素の量が減っていたのはその生物が活発に活動していたということで、その後この生物が活動を弱めることで酸素の量を一定に保ち、酸素のリザーバーとして働いていたのではというものです。

本当に芋虫のような生物かは不明ですが、堆積物を撹拌する生物を想定しています。愛は地球を救うをテーマにしたテレビ番組がありますが、世界的な二酸化炭素の上昇から地球を救うのは愛ではなくこんな生物なのかもしれません。

元の論文
Stabilization of the coupled oxygen and phosphorus cycles by the evolution of bioturbation

生きたまま脳を照らす技術

情報元
Mapping a live mouse’s brain with lasers

脳というのは複雑な機構を持っていて、人体の中でもっとも未知な領域です。現在、アメリカのBRAIN intiativeやヨーロッパのHuman Brain Projectなど大型国際プロジェクトが始まっており、世界では最も活発に研究されている分野の一つです。今回、この様な脳の研究にも使えそうな手法が新たに開発されました。

既存の方法ではX線やMRIを使ったイメージングが行われてきました。X線では被曝だけで無く、軽元素からなる脳はコントラストが付きにくく、明瞭なイメージが得られにくいという欠点があり、MRIは近年急速に発達したものの、時間分解能はまだまだ低いという欠点があります。それに対して可視光のレーザーで観察しようとすると、時間分解能やコントラストは良いものの、開頭手術が必要で、さらに脳の1~2mmの深さまでしか観察できませんでした。今回の方法はカーボンナノチューブを血液内に注入します。このカーボンナノチューブは単層で、光で励起すると基底状態に戻るときに光を発します。そこでレーザーで励起し、放出してきた光を検出することで、脳内の血管を生きたまま脳を観察する技術です。深さは2mm以上、空間分解能はサブ10μm、時間分解能は0.2 secくらいでイメージが得られたそうです。

今回の手法ではまだ2mmちょっとの深さまでしか見えません。著者らは将来的に人にも応用し、脳卒中や偏頭痛の研究に使いたいといっています。ただ、カーボンナノチューブは有害であるとの報告もあり、人に適用するのは難しいかもしれないと個人的には思います。さあこれから10年で大きく進歩することが期待される脳研究。どんな発見が出るか楽しみです。

元の論文
Through-skull fluorescence imaging of the brain in a new near-infrared window

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

エボラ出血熱の流行に緊急事態宣言が出される

ご存知かと思いますが、現在西アフリカから広まったエボラ出血熱が急速に広がっています。今回、WHOが緊急事態宣言を出しました。

エボラ出血熱は突発的に強烈な腹痛や頭痛、嘔吐が見られ、最終的には全身から出血がおきます。致死率は50-90%と非常に高く、承認された薬でエボラ出血熱に有効なものはなく、個人の免疫力に頼るほかありません。承認されておらず、安全性が十分に確認されていないものならあることはるようです。

今のところ日本では感染者は出ていません。しかし、毎日多くの人が国内外を出入りしていますので、いつ日本国内で出てもおかしくない状態です。通常致死率が非常に高いということは、他の人にうつる前に患者は亡くなってしまうため、感染が広まりにくいのですが、今回の事態をみる限り十分な警戒は必要です。

元の記事
WHO Statement on the Meeting of the International Health Regulations Emergency Committee Regarding the 2014 Ebola Outbreak in West Africa

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鼻の汁からクロイツフェルト・ヤコブ病を知る

クロイツフェルト・ヤコブ病という病気をご存知でしょうか。この病気は人間版狂牛病ともいえるプリオンによって引き起こされる病気です。感染性の病気ではあるものの、原因は細菌やウイルスでは無く、おかしな折りたたまれ方をしたプリオンと呼ばれるタンパク質が次々のほかのタンパク質の構造を変えてしまい、どんどん広がっていく病気です。症状としては最初はなんとなくだるいといったところから始まり、記憶障害等が見られ、一年程度でどうにも施しようがなくなります。いまだ治療法はありません。今回、簡便な早期診断方法が報告されました。

これまでの方法は脊椎穿刺にて得た溶液を正常な形のプリオンタンパクの溶液にいれるというものです。もしも感染していれば、不溶性のねばねばしたアミロイド鎖が出来上がります。この方法はアルツハイマーの診断等にも役立つかもと期待されてはいますが、脊椎穿刺はかなりの痛みを伴い、さらに10~20%程度の検出ミスがあります。一方、今回の手法は細長いカメラを嗅覚神経のある鼻腔に突っ込んでちょこっとだけ神経をとってきて同じように正常なプリオン溶液にいれるという方法です。この領域は脳にダイレクトにつながっており、脊椎穿刺で得る脳脊髄液よりも感染したプリオンが大量にいるはずです。今回の方法を既知の31人のクロイツフェルト・ヤコブ病患者と44人の正常な人に対して行いました。正確に検出できたのはこれまでの骨髄穿刺では77%程度にとどまるのに対し、今回の方法は97%(一人だけ検出できなかった)と非常に正確性が高い方法でした。

今回の方法は当然ながら治療法ではないので、クロイツフェルト・ヤコブ病が治るようになったわけではありません。しかし、患者の数が少なく、アルツハイマーと似た症状を示すため、誤診されることも多いため、感染を広げないという予防医学的な観点から重要です。また、アルツハイマーの診断にも使えるようになるかもしれません。

元の論文
A Test for Creutzfeldt–Jakob Disease Using Nasal Brushings

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寝ずに育つトマト

寝る子は育つなんて言葉があるように、夜の間しっかり休むことが大切です。特に夜寝ている間は成長しやすいんだそうで、逆に夜寝なかったり、明るい中で寝ると体に良くない影響があるとか。(詳しくは失念しました)夜が必要なのは植物も同じで、例えば栽培に使う種類のトマトは、24時間人工照明を当てると、葉の損傷を起こし、被害を受けることが多いのです。しかし、トマトが生長するためには、光を浴びて光合成を行うことが必要で、光の照射時間がトマトの収量を増やせない原因の一つよなっています。今回、24時間光を照射をしても大丈夫なトマトの遺伝子が見つかり、収量が上がることが報告されました。

トマトの照射時間と生育の関係に関する研究は昔から行われていて、栽培に使われないトマトの中には24時間照射しても大丈夫なトマトがいることが確認されていました。今回、そのようなトマトがなぜ光に耐性があるのか調べました。そしてCAB-13という、光合成の光の補足に関わる遺伝子に原因があり、24時間照射に耐性がある株は高い発現が確認されました。さらに栽培種のトマトにCAB-13を導入したところ、24時間照射に耐性があり、収量が約20%増えたそうです。

今回の研究で、高収率のトマトができるようになると期待できます。特にゲノム上の一箇所で決まっているとあって、品種改良も比較的容易ではないでしょうか。趣味でガーデニングをしていて、野外で育てている場合夜は暗くなってしまい、あまりメリットは無いかもしれませんが、室内できっちりと管理された水耕栽培を行っているようなトマト農家の方にはうれしい話でしょう。ところで、トマトに体内時計って無いのでしょうか。24時間光を照射しても大丈夫なトマトは果たして時計遺伝子が存在しないのか、それとも光以外の刺激を元に調整しているのでしょうか。 

元の論文
A single locus confers tolerance to continuous light and allows substantial yield increase in tomato

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精子は協力して競争している

人間生きていると様々な場面で競争します。勉強然り、仕事然り。他との競争なしに生きていくことは難しいでしょう。それは私たちが生まれる前、精子の時もそうです。何億という数の精子がたった一つの卵子をめぐる競争の果てに今の私たちがあるのです。精子がこの競争に勝つには、スピードだけでなく、いかに卵子の方向へ正しく移動できるかが重要になります。今回、精子は単独でいるよりも、ある程度グループでいた方が正しい方向へ移動できることが分かりました。

今回はげっ歯類の精子の動きを顕微鏡下で観察し、その動きを数学的モデルで解析しました。精子を単独~小規模なグループ、多数の精子が存在する大きなグループ、その中間(精子が6~7個)に分けて調べていきました。グループのサイズは小さすぎても、大きすぎても良くなくて、6~7個の精子のグループがスピード自体は変わらないものの、正しい方向へ向かうことですばやく移動できました。さらに生物種ごとに見ていくと、シカネズミの精子は近縁のハイイロシロアシマウスと比べて、精子の形状は似ているものの、動きが早く、適切なサイズのグループを作りやすいということがわかりました。ハイイロシロアシマウスは 一雌一雄で、シカネズミはそうではないので、シカネズミの精子のほうが他の個体との競合もあるので、より激しい競争を勝ち抜くために適切なサイズのグループを作るように進化したのでは?とのこと。

なぜ6~7個の精子のグループだと適切な方向にいけるようになるのかは不明です。本来なら同じグループ内の精子も競合相手ですが、敵の敵は見方ということなのでしょうか。そして、私たちの社会で見られるグループのサイズも競争を勝ち抜くには適切なサイズというのがあるのでしょうか。そしてそのサイズは6~7人くらいのグループなのでしょうか。

元の論文
The dynamics of sperm cooperation in a competitive environment

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