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マウスの思い出を塗り替えることに成功

昨日に続き記憶に関する話を一つ。皆さんはこれまでに楽しいことも嫌なことも経験したことがあると思います。特定の場所で何度も嫌な思いをすると、その場所を嫌なところ、怖いところと思うようになりますが、その後その場所で楽しい経験をすると楽しい場所と思うようになります。今回、このような思い出を塗り替えることに成功しました。

今回の研究は理研・MITの利根川先生のチームの成果なので、日本語のプレスリリースがここで読めます。手抜きで申し訳ないです。光遺伝学の手法を使い、マウスの嫌な思い出を楽しいものに変えたという内容です。

利根川先生はノーベル賞を受賞して既に30年近くたち、お歳もそれなりにいってますが、未だ現役のトップサイエンティストですね。研究内容もすごい。STAP細胞騒動なんかに負けずにがんばってもらいたいものです。

元の論文
Bidirectional switch of the valence associated with a hippocampal contextual memory engram
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テーマ:テクノロジー・科学ニュース - ジャンル:ニュース

磁石が記憶をよみがえらせる

情報元
Rebooting memory with magnets

記憶する能力というのは非常に重要な能力なのに、なぜか大切なことを忘れてしまうことが少なくありません。携帯電話をどこに置いたかとか、あの人の名前なんだっけ?という経験は誰もがあると思います。今回、そんな時に役に立つ論文が発表されました。なんと電磁パルスを脳内の特定の領域に与えると記憶を思い出すのを手助けしてくれるということが分かりました。

今回は経頭蓋磁気刺激法(Transcranial magnetic stimulation)という方法を使っています。心理学の世界では最近多用されるものらしく、こぶし程度の大きさのサイズでの電磁石です。これがどうしてというのは分かっていないのですが、偏頭痛やうつ症状が緩和する例が報告されていました。さらに記憶にも影響することも報告されていましたが、どの程度持続するのか、どうして効果が出るのかが不明でした。

実験としてはまず最初にfMRIで被験者の脳のマップを作り、特に海馬や頭頂葉の位置を特定します。この領域では記憶にかかわるタスクを行う時に、非常に活性化する部分です。逆に思い出せない時はこの領域の活性が非常に低くなっていました。その後ベースラインメモリテストを行いました。そのテスト後、一日20分間経頭蓋磁気刺激法で海馬や頭頂葉を刺激しました。五日後に再度テストを行うと、経頭蓋磁気刺激法を行った人は20~25%ほどスコアが良くなっていました。

将来的には記憶障害等の改善などに利用されるかもしれません。経頭蓋磁気刺激法を思い出せなくならないようにしましょう。

元の論文
Targeted enhancement of cortical-hippocampal brain networks and associative memory

テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

アレルギーを防ぐ細菌が判明

情報元
A gut microbe that stops food allergies

食べ物のアレルギーを持つ人は年々増加しているといいます。その原因は幾つかあると考えられていると思われていますが、その内の重要なものが抗生物質と腸内細菌の関係です。昔に比べて、現代人は抗生物質を多用するようになりました。腸内細菌は免疫機構を形成する重要なものですが、子供の頃の、腸内細菌叢が十分に形成されていない時に大量の抗生物質を投与するとその構成が変化してしまいます。それにより免疫系に変化が生じ、アレルギーが引き起こされるのではないかと言われていました。しかし、どの細菌が重要なのかは不明でした。今回その細菌が特定されました。

今回の実験では子供の頃に抗生物質を与えてピーナッツアレルギーを発症するようになったマウスをモデルとして扱いました。原因となるのはクロストリジウム属の細菌で、人を含め一般に哺乳類の腸内に見つかる細菌です。アレルギーマウスにこの細菌を移植するとアレルギー症状が消えたそうです。一方で他の腸内細菌であるバクテロイデス属の細菌ではこのような症状は見られなかったそうです。著者らはそのメカニズムにも少し触れていて、クロストリジウム属の細菌がアレルゲンへの上皮での透過性を調整しているそうです。

全てのアレルギーがなくせるかは不明ですが、重要な発見だと思います。先日も紹介しましたが、子供の時の抗生物質の投与で肥満になりやすくなるなど、ネガティブな影響が多いので、不用意に子供に抗生物質は投与しないほうがよさそうです。

元の論文
Commensal bacteria protect against food allergen sensitization

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人の成長がゆっくりなのは脳のせい

情報元
Why do humans grow up so slowly? Blame the brain

日本では20歳未満は子供とみなされ、飲酒などが制限されます。何歳から大人とみなされるかは国や時代によって違います。考えてみると20年という時間は非常に長く、子供でいる期間が非常に長いです。一方で他の哺乳類はもっと早く、生まれてすぐに歩き出せたりします。チンパンジーなど霊長類と比べても人の子供の期間は長く、成長がゆっくりであると言えます。今回、この理由が脳の発達にエネルギーを使われるからだということが示されました。

以前から脳にエネルギーの大半(44~87%)が奪われてしまうために、人間の体の成長はゆっくりなのではと言われてきましたが、それを証明できていませんでした。今回の研究では主に過去のデータを使っており、1987年の乳児36人と三十歳の時のPETとMRIのデータをもとに脳のグルコースの消費量を見積もりました。次に脳の消費量の分布を調べるために4.5歳から大人まで幅広い人の脳の大きさとグルコースの消費量を比較しました。さらに歳と、体のサイズと脳のグルコースの消費量の関係を結びつけるために、1978年に収集された1000人分の、生まれてから大人になるまでの脳と体の重さのデータを比較しました。その結果として脳の大きさと成長の速度にはトレードオフの関係がありました。例えばもっとも脳でのエネルギーの消費が激しいのは4.5~5歳児の時で、体重が一番増加しにくい時と一致していました。

体の成長がゆっくりな人のほうが脳が大きくなる傾向があるかもしれません。今後は他の動物でもこのようなトレードオフの関係があるのか、そしてそれをコントロールできるのかというのが問題になってくるのではないでしょうか。

元の論文
Metabolic costs and evolutionary implications of human brain development

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日焼け止めが海を汚染するかも

天気予報によると、これまで暑い日が続いていましたが今週から暑さは少しずつ和らいでいくそうです。皆さんはこの夏どんなことをしましたか?夏の行楽行事といえば海。海では太陽からの日差しだけでなく海からの照り返しもあり、非常に紫外線が強いです。UVを浴びてハイになるのも良いですが、皮膚がんの危険性もありますので多くの人は日焼け止めを使います。実はこの日焼け止めが海を汚染するかもという話が出てきました。

問題となるのは日焼け止めの中に含まれるTiO2やZnOというUVのフィルターとなる日焼け止め成分です。日焼け止めをつけた人が海に入ればこれらの成分が海水中に流れ込みます。そしてこれらの成分が強い紫外線によって過酸化水素を作り出してしまいます。過酸化水素は非常に強い酸化力を持ち、海水中の光合成プランクトンなどにダメージを与え、成長を阻害してしまいます。これにより、他の生物が食べられるプランクトンの減少で、海の生態系が大きく崩れてしまうかもとのこと。筆者たちによると、日焼け止め1グラムから地中海の人気のビーチであれば一日に4キログラムのTiO2が海に流れ出て、270nM/dayの割合で増える計算となり、その周辺の生態系に影響を十分に及ぼしうるとのこと。

個人的には海の海流によって希釈されるし、海の生態系を維持するような恒常性も当然あると考えられるので筆者が主張するほど深刻な問題ではないような気がします。もし、年々海水中の過酸化水素濃度が高くなっており、生態系に変化が見られるというデータがあれば憂慮すべき事態ですが。とはいえ、人は生きるために多少なりとも生態系に影響を与えます。恒常性が保てなくなるほどの影響を与えるのはまずいので、日焼け止めの過剰な使用を避けるのがエコというものでしょう。

元の論文
Sunscreens as a Source of Hydrogen Peroxide Production in Coastal Waters

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マーモセットはMERS研究の良いモデルだった

数年前にMERSというコロナウイルスを原因とした病気が確認されています。主に中東に患者が多く、ラクダを介して人に広がっていると考えられています。このような人に感染する病気の研究には人に比較的近いサルの一種であるマカクが実験に使われます。しかし、MERSの場合、マカクは人に見られるような重篤な症状が見られず、MERS研究の良いモデルはありませんでした。今回、同じくサルの一種であるマーモセットがMERS研究の良いモデルとなることが示されました。

この発見は今後MERSの研究が加速するだけでなく、新たな病気の研究を行っていく際、マカクが良いモデルとならない場合にマーモセットが良いモデルになる可能性があることを示しています。

元の論文
Infection with MERS-CoV Causes Lethal Pneumonia in the Common Marmoset

テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

プロテアソーム阻害で筋ジストロフィーの緩和

筋ジストロフィーという病気をご存知でしょうか。長いこと生きている人は一人くらい筋ジストロフィーの患者に出会ったことがあるかもしれません。これは複数種類に分類でき、症状は多少違うものの、基本的に遺伝性の病気で、筋肉の萎縮が起こります。現在のところ根本的な治療方法は余りません。今回、筋ジストロフィー治療の新たな戦略となりうる発見がありました。

筋肉にはジスフェリンというタンパク質があり、それをコードしているDYSHという遺伝子に変異が入ることが筋ジストロフィーの原因です。実はジスフェリンは変異が入っていても、機能上は問題ないことが最近明らかになりました。しかし、変異が入ることで細胞内の清浄機能により分解されてしまい、機能が発揮できないということが分かりました。今回、Arg555Trp変異が入った患者にbortezomibというプロテアソーム阻害剤を投与し、血液の細胞と筋肉の細胞内のジスフェリンの遺伝子発現を調べました。bortezomibを投与したことで変異が入ったジスフェリンが大量に発現しており、本来いるべき場所である筋繊維のを包む筋鞘に局在していました。さらに変異が入ったジスフェリンも機能を果たせており、プロテアソームの阻害というのが似たような原因の病気の治療にも役立つのではといっています。

個人的には長期間投与した場合の副作用が気になります。プロテアソームは細胞内の不要なタンパク質を分解してくれているわけですが、阻害することで細胞内にゴミがたまってしまうわけです。プロテアソームの阻害による治療をするとしても一定期間のインターバルで投与して進行を遅らせることくらいしか出来ないのではないかと思います。
ちなみに最近アイス・バケツ・チャレンジで話題の筋萎縮性側索硬化症は症状は似ているものの、別の病気です。

元の論文
Proteasome inhibitors increase missense mutated dysferlin in patients with muscular dystrophy

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

エボラウイルスから救う薬

今世界中で流行中のエボラウイルスですが、致死率90%と非常に高いものの、有効な治療薬というのは存在しておらず、開発が急務です。今回サルを使った実験で、マールブルグウイルスというエボラ様のウイルスで、かつ人にも感染しうるウイルスの治療薬が見つかり、エボラ出血熱治療に有用かもしれないという報告がありました。

マールブルグもエボラもどちらもフィロウイルスの仲間で、RNAウイルスです。感染すると、宿主のタンパク質合成機構を使って自分のコピーを作ります。過去に、Thomas Geisbertという人がsiRNAを使ってフィロウイルスの複製を阻害することに成功していました。今回カナダのTekmiraという製薬会社は脂質ナノ粒子と呼ばれる小さなカプセルにsiRNAを閉じ込めたうえで投与したそうです。
これまでの実験では感染後1~2日以内に投与しなければなりませんが、この段階では自覚もほとんどなく、血液検査でも検出できないため現実的ではありませんでした。今回は感染3日後の、サルの体調が悪くなり始めてから投与しても効果があり、16匹にテストしましたが、すべてのサルが回復したそうです。ちなみに何もしなかったサルは1週間以内に全て死んでしまいました。

Tekmiraはすでに人に対する安全性の評価を始めているそうです。明らかに異常といえるほどの量を与えると吐き気が出るそうですが、安全性に関しては不透明です。しかし、今は非常に需要が高く、テストも最優先になっているので、多少の副作用には目を瞑って市場に出回るのではないでしょうか。

元の論文
Marburg virus infection in nonhuman primates: Therapeutic treatment by lipid-encapsulated siRNA

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子供が計算に指を使う理由

これをみてる皆さんはおそらく簡単な一桁くらいの足し算の計算なら指などを使わなくても頭の中で計算することができるかと思います。しかし、子供の場合は指などを使って数えなければちゃんと計算できなかったりします。実は海馬によってその原因を説明できるとともに、子供がなぜいろんなものを学んでいけるのかが説明できるかもしれません。

今回の実験では7-9歳の子供に簡単な計算をさせ、計算の仕方をカウント、記憶によるもの、その他に分類しました。その一年後に再度簡単な計算をさせました。傾向として、年を取った方が、指を使ったりしなくなり、頭の中だけで計算を処理していました。さらにfMRIで脳内の活性を調べてみると、年を取った時の方が海馬での活性が上昇していました。逆に、前前頭骨などのカウントに関する部分の活性は減っており、異なる神経回路を使っていると考えられます。興味深いことに 海馬の活性の上昇が見られたものの、シグナル強度自体が重要というわけではなく、シグナルが強いからと言って算数の成績が良いわけではありませんでした。どうやら脳の他の部分、特に長期記憶にかかわる新皮質の活性が重要のようでした。海馬と新皮質の間のつながりが強いほど多くの記憶を必要とする計算問題に答えられるという結果でした。

今回は算数の計算の仕方が年と共に変化するということが示されましたが、他の学習でも同様に年齢と共に考え方が変化している可能性があり、それが子供がいろいろなことを覚えられることと結びついているのかもしれません。実際のところ海馬と新皮質ではどのような情報が行き来しているのかなども興味深いところです。

元の論文
Hippocampal-neocortical functional reorganization underlies children's cognitive development

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人工の脳が作られる

情報元
Scientists create artificial brain out of spongy goo
sn-3DbrainH.jpg
(情報元の記事より引用。)
先週興味深い結果が発表されました。まずは左の図を見てください。ただのカラフルなスポンジのように見えますが、これが人工の脳なんです。しかもこれでちゃんと?生きているんです。まだ学習能力はないものの、今後の研究次第では学習させることも可能かもしれません。

今回作られた人工の脳は皮質を模した物。作り方としてはカイコの繭のタンパク質でできた硬い、多孔質のマトリクスに濃縮したラットのニューロンを24時間浸します。その後をコラーゲンのゲルに浸し、コーティングするというもの。言うならばニューロンの3次元培養をしているのです。二次元培養よりもよりリアルなニューラルサーキットを再現できます。色にあまり意味はなく、6層に分かれた脳の皮質を模していることが分かりやすくしているだけ。この人工脳は約1か月生きることができ、電気生理学的な機能を有しています。さらにこの脳は傷に対する反応が、in vivoと同じような反応を示しており、脳の研究に利用できるものと考えられます。

現在、この人工の脳を使って、薬に対する脳の反応や病気やトラウマなど様々な外傷に対する治癒の研究を行っているそうです。生きたマウスを使うようなin vivoの実験では個体差があり、ばらつきが大きくなりがちで、データがきれいに出にくいですが、人工の脳ならもっと質のよいデータが集められ、脳研究が加速するかもしれません。

元の論文
Bioengineered functional brain-like cortical tissue

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