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ゲノム編集による遺伝子治療

以前、幹細胞にゲノム編集を行った例を紹介しましたが、今回、これを実際の遺伝病患者由来のiPS細胞で行ったという論文がありました。

今回のターゲットとなった遺伝病はサラセミア。あまりなじみのない病気ですが、世界中に患者はいて、特に地中海付近でよくみられる病気です。この病気はHBBという、赤血球の分化に必要な遺伝子に変異が入ることで起き、赤血球の前駆細胞が赤血球に分化できずに貧血を起こす病気です。

今回の実験ではサラセミア患者の皮膚をとり、iPS細胞を樹立しました。その後CRISPR/Cas9という技術にてDNAを切り、正しい配列とマーカーとpiggybagと呼ばれる配列を挿入します。その後、セレクションをかけてpiggybacで余計な配列を取り除くことで、余計な物を入れることなく変異だけをを元に戻しました。遺伝子操作をしてもオフターゲット(目的以外のDNAの配列が組み変わること)もなく、分化多能性を保っていました。その後赤血球の前駆細胞に誘導することにも成功しました。もちろんHBBの変異は消えたままです。
コストや安全性の問題がまだありますが、遺伝病の遺伝を食い止めたり、遺伝病の根治治療がいよいよ可能になりそうです。
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ガンをバクテリアで治す

情報元
Bacteria shrink tumors in humans, dogs

現在日本で死因として最も高いガンですが、バクテリアを使って治すという方法に関する論文が発表されました。

ガンをバクテリアを使って治すなんて手法は聞いたこと無いという人が多いかと思いますが、実はこの手法の研究の歴史は意外と古く、実は200年以上前まで遡ることが出来ます。この分野で大きな進歩があったのが、1890年代ごろにウィリアム・コーリーという人が死んだレンサ球菌(コーリーの毒と呼ばれる)を腫瘍に直接注射したり、血液注射することで多くのがん患者を治療したと言われています。その後、外科治療や放射線あるいは薬による治療が出てきたため、コーリーの毒による治療は行われなくなりました。ただ、コーリーの毒による治療はなかなか効果的で、現在の抗がん剤治療に匹敵するレベルだったそうです。

この方法を見直そうとする人たちもいて、今回はボツリヌス菌を試してみたそうです。腫瘍組織内は酸素が少ない状態で、ボツリヌス菌はそういった環境が好みであることから、効果的にボツリヌス菌が腫瘍を攻撃してくれるのではと考えたようです。今回の実験でマウスでよい結果が得られ、より人に近い犬を使って行いました。ガンを患った16匹の犬にボツリヌス菌の胞子を注射したところ、6匹で腫瘍が消えるあるいは小さくなり、5匹では腫瘍の成長が止まり、残りは腫瘍を取り除くのに外科手術が必要でした。

この結果からさらに人にも試して見ました。最初の患者は体の複数箇所にガンが転移してしまった人です。犬に投与したときの10分の1程度の量でもガンが収縮していったそうです。ただ、予想外の副作用として腫瘍が上腕骨内に移動し、物理的な力に弱くなっていました。結果的に患者さんは転移した腫瘍のために亡くなってしまったそうです。

著者らはバクテリアの遺伝子を組み換えて副作用を減らせないかと考えているそうです。厳密な作用機構が不明で、副作用の心配も拭いきれていませんが、今後がん治療の主要な手法となりうるアプローチですね。

元の論文
Intratumoral injection of Clostridium novyi-NT spores induces antitumor responses

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