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うんちが薬になる時がきた

以前どこかでこのブログで書いたことがあるかもしれませんが、クロストリジウム-ディフィシルという菌による難治性の感染症があり、症状としては腹痛があります。今感染症は抗生物質による治療があまり有効ではないのですが、昨年人のうんち(とその中の細菌)を移植することで、クロストリジウム-ディフィシルによって乱れた腸内細菌を整えて治療するという論文が出てきました。このうんちの移植ではチューブを鼻腔または口から胃に通し、うんちを送り込むという物でした。今回、うんちを閉じ込め、冷凍保存したカプセルでも十分に効果があるという報告がされました。

今回の実験では20人の患者に一日15個のうんち入りカプセルを2日間飲んでもらい、その後の経過を観察していきました。結果、8週間後の段階で18人の患者の症状は回復しており、悪化することもなく、十分に効果があるということが分かりました。

しかし、手軽になったとはいえやはりうんちを口にするというのは抵抗がある。それにうんちの中に他に感染性の菌がいないかも十分に検査しなければならないし、早く特定の菌を入れたカプセルとかで治せるようになったらいいのに。将来的にはもう少し発展させられそうですね。

元の論文
Oral, Capsulized, Frozen Fecal Microbiota Transplantation for Relapsing Clostridium difficileInfection

テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

2014年ノーベル賞まとめ(科学系のみ)

最近忙しくて更新できませんでした。
ご存知かと思いますが、今週ノーベル医学生理学賞、化学賞、物理学賞が発表されました。

受賞者とその研究内容は以下の通り。
物理学賞
Isamu Akasaki(1929年日本生まれ、現在名城大学所属), Hiroshi Amano(1960年日本生まれ、現在名古屋大学所属) and Shuji Nakamura(1954年日本生まれ、現在UCSB所属)
明るく、省エネな白色光源となりうる効率的な青色発光ダイオードの発明に対して

LEDは消費エネルギーが少ないにもかかわらず、非常に明るいという特性を持ちます。そのため光の3原色のLEDを作れば、様々な場面で使用可能です。昔は青色のLEDを作れなかったのですが、この3者の働きによって青色LEDの開発に成功し、現在ではPCやスマホをはじめ様々な場面で使われ、私たちのライフスタイルを大きく変えました。この受賞者の中の中村先生は青色LEDの特許をめぐる裁判で非常に有名です。ちなみにこのような実用できな物の開発にノーベル賞が送られることは結構珍しいです。

化学賞
Eric Betzig1960年アメリカ生まれ、現在ハワード・ヒューズ医学研究所所属), Stefan W. Hell (1962年ルーマニア生まれ、現在マックスプランク研究所所属)and William E. Moerner(1953年生まれ、現在スタンフォード大学所属)
高分解能蛍光顕微鏡の開発に対して

これまで、顕微鏡は非常に多くの革新的な情報を与えてきました。顕微鏡が無ければ細胞や細菌を見つけることは出来ず、現在の医学・生物学はありえなかったでしょう。顕微鏡でどのくらい細かく見えるかは光源の波長によって決まります。例えば400nmの可視光を使えば、近接場なら200nmまで観察できますが、それ以上細かいものは電子顕微鏡など出なければ見れません。しかしながら電子顕微鏡はエネルギーが高く、生体試料を観察するにはエネルギーが高すぎて細胞にダメージを与えてしまいます。今回の受賞者たちは物理的な限界を打ち破って数十nmの分解能で蛍光物質を検出できる高分解能の顕微鏡(顕微鏡が"micro"scopyであることから、このような高分解能顕微鏡は"nano"scopyと呼ばれたりもする)を開発しました。開発に成功したのは割りと最近(多分10年たってない)で、受賞まではかなり早いほうだと思います。

医学生理学賞
John O'Keefe(1939年ニューヨーク生まれ、現在イギリスUCL所属), May-Britt Moser(1963年ノルウェー生まれ、現在 Centre for Neural Computation所属) and Edvard I. Moser(1962年ノルウェー生まれ、現在カブリ研究所所属)
脳内の位置情報をつかさどる細胞の発見に対して

今回の受賞者たちは脳内のGPS細胞と形容される細胞を発見しました。John O'Keefeは海馬にあるplace細胞を、Moser夫妻は嗅内皮質にあるgrid細胞を見つけました(*注:place, grid細胞というのは正式名称ではありません)。私たちはこの2種類の細胞のおかげで自分の位置を追跡できるのです。

肖像権的な問題に抵触するとまずいので画像は載せませんが、情報元のノーベル財団のホームページで受賞者のご尊顔も見れます。それにしても、毎年ノーベル賞発表時期前になると各社から予想も発表されますが全く当たらないものですね。

情報元
Nobelprize.org

ノーベル医学生理学賞の受賞者が発表された!

今年のノーベル医学生理学賞が発表されました。
受賞者はJohn O'Keefe 、May-Britt Moser、Edvard I. Moserという人の3人です。

今回の受賞者たちは脳の研究を行い、自分の向いている方向や位置をどの様にして知るかを解明した人たちです。
詳細は明日あたりに追記します。
ちなみにO'KeefeはイギリスのUCLの方で、Moster夫妻はノルウェーのトロンハイムというところで研究をしています。

情報元
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2014/press.html

エボラの感染ルート

各種報道でご存知かもしれませんが、西アフリカを中心に流行中のエボラ出血熱が、アメリカに広がりました。西アフリカと違い、アメリカは日本からの渡航者も多いことと思います。それはつまり感染してしまうリスクが上昇してしまうということです。今回は各自がエボラウイルスから身を守るためにもに、エボラウイルスの感染ルートに関する論文を少し古いものですが紹介します。

まず、エボラウイルスは空気感染はせず、水を介して感染します。そのため人から人へ感染する際は、直接の接触、あるいは椅子などを介した間接的な接触によって起きる可能性があります。今回紹介するのは、患者のどんな体液からエボラウイルスが見つかったかを調べたものです。この論文は2007年に出版されたもので、2000年にウガンダでエボラ出血熱が流行した際に調べたものです。結果は以下の通り。順番は体液の種類、陽性のサンプル数、調べたサンプル数で、カッコ内は%です。

唾液   8/12 (67%)
肌    1/8 (13%)
尿   0/7 (0%)
吐瀉物 0/1 (0%)
痰    0/1 (0%)
母乳  2/2 (100%)
糞便   2/4 (50%)
汗   0/1 (0%)
涙    1/1 (100%)
鼻血  1/1 (100%)
シラミ 0/1 (0%)
精液  1/2 (50%)

さらに、患者が入院している病院の内外の様々なところにエボラウイルスが検出されるか調べました。ウイルスが見つかったのは患者の血が付いた医師の手袋と体の静脈注射部位だけで、例えばベッドなどからは検出されませんでした。

サンプルの数もあまり多くは無いのですが、現在のところこれ以上のデータは無いのではないかと思います。皆さんの役に立つかは分かりませんが、この情報が有益になることを祈ります。

元の論文
Assessment of the Risk of Ebola Virus Transmission from Bodily Fluids and Fomites

テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

体内リズムの起源

ご存じのとおり、私たちには体内時計が備わっており、それによって活動するあるいは休むのに適したタイミングが決まってきます。脊椎動物の場合、このタイミングは直接的にはホルモンがコントロールしています。今回、実は動物プランクトンの夜間の行動がホルモンによって制御されているようだということが分かりました。

人の体内で体内時計をコントロールしているホルモンはメラトニンという物質です。しかし、メラトニンが無脊椎動物にどのような影響を与えるかは不明でした。今回はPlatynereis dumeriliiという動物プランクトンを対象に研究しました。このプランクトンは一日に何度か水中を上に下に動いたりします。今回分かったこととして、このプランクトンの幼生は脳内でメラトニンを、特に夜にその合成が強化されていました。このようなリズムは脳の活性を促進し、代わりに泳がなくなるために徐々に下へ移動しているということが明らかになりました。

今回の結果から推測されるに、このプランクトンは夜寝ていて、そのタイミングはメラトニンで制御されていると考えられます。人でも夜間にメラトニンが多くなるため、プランクトンと似たような作用機構であると思われます。メラトニンは非常に多くの生物で作られていますが、最初はメラトニンは抗酸化作用があるため、細胞の保護のために作られていたものと考えられています。現在のところ、体内時計を持つ生物で、最も進化的に古い生物がこのプランクトンであり、プランクトンが誕生したころに初めて細胞の保護物質であったメラトニンを体内時計のコントローラーとして使いを持ち始めた生物ではないかと思われます。

あと個人的にはプランクトンのような下等な生物でさえも体内時計を持っているということは、それだけ生命にとって大切なものである可能性が高く、無理してリズムを乱すようなことをするべきではないと思う。病院とかは夜間も稼働する必要があるかもしれないけど、コンビニとかは深夜は営業しないほうが従業員と顧客のためになるんじゃないかと思ったりする。
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(Platynereis dumeriliiってこんな生物。)

元の論文
Melatonin Signaling Controls Circadian Swimming Behavior in Marine Zooplankton

テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

現在日本人の死亡原因のトップはがんによるもので、今後もその割合は増えていくと予想されています。ガンは治る場合もありますが、治らなかったり、再発する場合も少なくありません。特にすい臓がんは治療が難しく、死に至る場合が多いです。その原因がPancreatic stellate cells (PaSCs)という細胞が腫瘍細胞が育ちやすく、薬に対して耐性を持ちやすい環境を作っているからだといわれています。今回、ビタミンDによりPaSCsが腫瘍を育ちやすい環境を作れなくなり、すい臓ガンの治療がもっと効果的になることが分かりました。

PaSCsには活性化状態と安定状態の2つがあり、活性化状態のPaSCsが腫瘍を形成しやすい環境を作っています。今回の研究により、すい臓の腫瘍細胞がビタミンD受容体遺伝子を発現しており、ビタミンDの投与によって炎症等に関わる遺伝子の発現が大きく減りました。さらにビタミンD受容体はPaSCsの安定状態のマスター制御因子であることが分かりました。 そこでビタミンDを抗がん剤と組み合わせると、抗がん剤のみと比べて腫瘍も小さくなり、治った人の割合も増えたそうです。

もちろんビタミンDをとるだけでガンが治るわけではありませんし、どのくらいの量を投与すればよいか、抗がん剤の組み合わせによっては良くない場合も考えられ、まだまだデータが必要ではあると思います。ちなみに活性化状態のPaSCsは傷ついた細胞の治療などにも重要であり、常に静止状態にしておけばよいという物でもないということを指摘しておきます。

元の論文
Vitamin D Receptor-Mediated Stromal Reprogramming Suppresses Pancreatitis and Enhances Pancreatic Cancer Therapy
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