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lncRNAの生理学的な役割

普段は新しく出版された原著論文を紹介していますが、今回は個人的な備忘録代わりの投稿です。

今回読んだ(斜め読みだけど)のはPhysiological roles of long noncoding RNAs: insight from knockout miceというレビュー。cellのウェブページ見てたら目に止まったので読んでみた。

まずnon-coding RNA(ncRNA)はタンパク質に翻訳されないRNAのこと。タンパク質コードされている遺伝子がヒトゲノムの2%程度といわれるのに対し、ncRNAは62-75%と非常に広い。ncRNAは長さによって分類されることが多く、昔から知られているtRNAや比較的新しいmiRNAなどは短いものである。今回のレビューで注目しているのは200ntを超えるような長いlong ncRNA (lncRNA)のほう。

タンパク質をコードする遺伝子と比較した時のlncRNAの特徴は
①発現レベルが低く、転写後は核内にとどまる事が多い
②タンパク質コード遺伝子よりも細胞種特異性が高い
③配列自体は進化的には保存されていないものの、プロモーター等は保存されており、シンテニーが同じ機能を有している

機能としては多くの場合、その配列情報と構造的な自由度の高さから、クロマチンを介した遺伝子発現制御に関わることが多い。lncRNAはDNAと配列のペアリングによってくっつけるし、タンパク質とは特殊な2次構造を介してくっつくことが出来る。そのため様々なタンパク質をDNAの特定の部位にリクルートしていると考えられている。

タンパク質コーディング遺伝子の場合、塩基の置換やインデルなどによる変異によって引き起こされる生理学的な変化から見つかってきたが、lncRNAの場合、そのようにして見つかったのはレア。考えられる理由としては単純に配列自体はさほど重要ではない(進化的にも保存されていないし)、組織の複雑性などに重要であり、無くてもどうにかなってしまう、冗長であるなどが考えられる。では現在どの様にしてlncRNAの生理学的な、in vivoでの役割を調べられているのか。lncRNAはORFもないし、ノックダウンが効きにくい。そこで主にノックアウトによる研究が進んでいる。

ストラテジーとしては3つあり、lncRNA全体をcre-loxpで削除する、プロモーターを削除する、ポリAシグナルを転写開始点のすぐ下流に挿入して転写を強制終了させるというもの。どの方法も一長一短あり、最初の方法はエンハンサーやプロモーターなどのシス制御因子が含まれていれば、lncRNAが無くなった事よりもシス制御因子がなくなったことで他の遺伝子の発現が変動したことによる影響が考えられるし、プロモーターを削除するのはシス制御因子を削除してしまう危険は低いものの、mRNAのコード領域付近では使えないし、オルタナティブプロモーターの可能性があり、他のアイソフォームは発現が下がらない可能性がある。ポリAシグナルの挿入は、挿入部位を慎重に選ぶ必要があり、ポリAシグナルが入っても全長は短くなるとはいえlncRNAの機能が維持されてしまう可能性もある。

現在分かっているlncRNAの役割についてまとめている。今回は組織の発生やパターニングに関わるHOTAIR, Fendrrや他にも生存や成長に関わるTsix, Jpx、免疫機構に関わるNeST、病気とのつながりがはっきりしているXist, Malat1などを解説している、詳細は省きます。

今のところ生理学的な役割が分かっているlncRNAはごくわずかで、この分野の研究は始まったばかり。実は大切ではないものも含まれているかもしれないし、ノックアウトしても冗長であるため表現型に変化も無いかもしれない。他にもlncRNA研究特有の難しさがある。 それでも特殊な化学標識アンチセンスオリゴなどの研究が進めばlncRNA研究も進むだろう。とのこと。


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マウスに人の小腸を作らせることに成功

再生医療が実現しつつあるのですが、まだまだ課題も多いのがこの分野。例えば機能を有する器官を幹細胞から作るというのは簡単ではありません。今回、アメリカのチームがマウスにヒトの小腸を作らせることに成功しました。

これまでもES細胞やiPS細胞から腸組織を作る研究はもちろん行われてきました。一応小腸のようなものは出来るのですが、成長と共に生理学的な変化や構造的な変化があったり、機能が不完全になったりしてしまうものでした。方法としてはin vitroで増殖させた腸のような組織をマウスの腎組織へ移植すると、成熟が進み、機能的な小腸が出来上がるというもの。形態等をみても陰窩や絨毛の様な物が出来ていました。さらに粒子の血液中への吸収や消化酵素活性といった腸としての機能も見られました。さらにホストであるマウスの腸を外科的に削除すると、移植したヒトの腸が成長・適応し、マウスの血中のシグナルにも反応するということが分かりました。

この成果は腸の発生や生理学的な研究、さらに新薬の開発にも大いに役立つものと思います。発生生物学とかの分野は進歩が著しいですね。

元の論文
An in vivo model of human small intestine using pluripotent stem cells

テーマ:テクノロジー・科学ニュース - ジャンル:ニュース

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