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豆が小麦と地球を救う

社会にはいろいろな問題がありますが、二酸化炭素の排出量の増加や世界的な人口増加というのは大きな問題となっています。この二つの問題をもしかしたらコムギが救う救世主となる可能性が出てきました。

ご存じのとおり、コムギはパンや麺に使われ、世界的にも人気の高い食料源です。現在の農法では、コムギの単作あるいはコムギと休閑のサイクルによる栽培(2年の栽培と1年の休閑で1サイクル)が行われています。休閑期は力を回復させるため,一定期間作物の栽培をやめることで、複数回の耕運(壌を耕し、雑草が生えないようにする)が必要になってきます。しかし、耕運には大量の化石燃料が必要で、耕運によって土壌有機物が減るため、この栽培法が、環境に深刻な影響を及ぼしています。

今回、この問題をどうにかできないかと、さまざまなコムギ栽培法による二酸化炭素排出量を調べる研究が行われました。その結果、休閑期の頻度を減らし、窒素固定を行うレンズマメなどの穀実用マメ科作物を輪作(同じ土地に別の性質のいくつかの種類の農作物を何年かに1回のサイクルで作っていくこと)に加えることで、コムギ栽培による二酸化炭素排出量を減らし、大気からの二酸化炭素の吸収が大気中への排出を上回るようにできる可能性が示されました。

今回の内容は要するに休閑期の耕運代わりに窒素固定をするマメ科の植物を植えれば、土が耕されて地力も上がるし、二酸化炭素の排出も抑えられるだろうってこと(多分)。コムギに休閑期をいれること自体は割と普通に行われていますが、特にレンズマメとの輪作は効率が良いようです。

元の論文
Improving farming practices reduces the carbon footprint of spring wheat production
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テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

脳を守る微生物

私たち人間は様々な生物と共に生きており、食べ物の消化や免疫機構の形成などに役立っています。今回新たに血管と脳の関門で病原菌の侵入を阻む関門の形成にも微生物が関与していることが分かりました。

このような血管の関門を守る微生物が見つかったのは実は10年以上前のことです。gap junction proteinという遺伝子をもつ微生物がいないと腸壁が適切に形成できず、病原菌の侵入を許してしまうという物でした。脳と血管の関門にもgap junction proteinが存在しており、同じようなメカニズムがあるのではないかと考えたようです。今回の研究ではマウスを使いました。実験マウスは完全に無菌環境で育てることが可能で、体内に菌のいない状態で生育することができます。そこで無菌マウスと普通のマウスのおなかにいる子供に抗生物質を投与しました。この抗生物質は脳の関門を通れない大きさです。結果、通常では発生後17日より以前に抗生物質を投与すると脳内に抗生物質が見られますが、通常のマウスであればそれ以降は脳内に関門が形成され、ほとんど脳内には見られなくなるのに対し、無菌マウスの胎内で育った場合、それ以降でも抗生物質が脳内に漏れていくことが分かりました。さらに無菌状態で生育させ続けると大人になっても適切な関門が形成されないものの、2週間ほど菌にさらすと関門を形成できるようになりました。

具体的なメカニズムもどんな種類の菌が重要なのかはまだ良く分かっていないみたいです。もちろん無菌状態というのは人工的に作り上げたものですので、不完全と言えば不完全。でも微生物が体の様々なところで役に立ち、共生関係にあるというのはほぼ間違いないのではないと個人的には思います。

元の論文
The gut microbiota influences blood-brain barrier permeability in mice

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あなたもやもりに!壁を登れるグローブの開発

みなさんの家ではヤモリを見ることはありますか?家を守ると書いて、家守ということで、割と演技が良い生き物とされます。ヤモリはどいうわけか凹凸のない壁でもすいすい登っていきます。これはヤモリの手足には小さな毛が並んでおり、その毛には特殊なリン脂質がついています。このリン脂質が弱い吸引力をもたらし、これのおかげでさかさまになっても落ちないんだそうです。今回これを利用したグローブが開発されました。

実はこのヤモリの能力を利用した物を作ろうという研究はたくさんされてきました。しかしながら、数平方センチメートルを超えると、くっつく力が弱くなってしまい、実用的なものが作れないという問題にぶつかっていました。今回なぜ大きくなるとくっつく能力が落ちるかというと、表面にある毛が均等にくっつかないためということが分かりました。そこで、それを解決すべくスタンプサイズのシリコンに小さな毛を付けたものを24個作りました。それを腱のようなひもつきのばねに繋ぎ、6角形のプレートに取り付けました。ばねを使うことで均等に力が伝わるようにしたようです。

こちらの動画では約3.6mの壁を登ることに成功しました。ミッション・インポッシブルではトムクルーズが830メートルのビルを手袋で登るシーンがありましたが、体力さえあればこれを実際にやることが可能でしょう。みんなもトムクルーズになれる日も近い!

元の論文
Human climbing with efficiently scaled gecko-inspired dry adhesives

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ホモセクシャルの遺伝子があるかも

国内ではあまり問題になることはないのですが、ホモセクシャルの人たちに対する人権・理解というのは問題になることが海外では良くあります。そもそもホモセクシャルはどうして生まれるのでしょうか。生物学的理由があるのか、文化的なものがあるのかまだ決定的な証拠はありませんが、生物学的な理由の存在を示唆する結果が発表されました。

今から約20年前、性的嗜好に関与するとされる変異が性染色体であるX染色体に存在すると発表されました。性染色体にあるというのは妥当であり、もっともらしいという意見がある一方、研究の対象となった人の数が少なく、これが本当にホモセクシャルに関与しているかどうかは議論されていました。そこで今回、スケールを上げて409組のゲイの兄弟を対象に行いました。結果、これまで議論の対象にしていたX染色体上の変異に加え、第8染色体にもホモセクシャルに関与する変異が見つかりました。

この論文は出版までに相当の時間がかかったそうで、いろんなところでリジェクトされたようです。やはり、批判を含めていろいろな議論になるのは間違いないですし、今回の結論が正しくなかったなんてことになったらジャーナル側としてはいやでしょうし。もちろん今回の結果に懐疑的な意見もありますし、遺伝的影響がどの程度あるかは不明確です。風当たりも強いでしょうが、ホモセクシャルの人へのちゃんとした理解のためには原因究明は重要なことでしょうから頑張ってほしいものです。

元の論文
Genome-wide scan demonstrates significant linkage for male sexual orientation

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人間は良い奴?悪い奴?

過去の有名な心理学の実験で、ミルグラム実験というのがあります。詳細は省きますがほとんどの人が見ず知らずの人を痛めつけることを選んび、ヒトの残虐性をまざまざと見せつけた実験です。ではもしお金と引き換えに自分か他人のどちらかを痛めるか選ばなければならないとしたら、みなさんならどう行動しますか?利他的に動くかどうかの実験です。今回、このような実験が行われ、実は自分よりも他人の健康状態を気づかう傾向があることが分かりました。

人は天使か悪魔か。これを知る一端として、今回は痛みとお金を天秤にかけさせました。人はそれぞれ痛みの閾値があり、まずはどの程度の電気ショックに耐えられるかを調べます。そして電気ショックは耐えられるけど痛いというレベルにセットします。その後ランダムに二人組になってもらいます。といっても相手が存在することは分かっていても見れないようにしてあるので相手がだれでどのくらい痛そうにしているのか分からないようにしてあります。もらえる金額は受ける電気ショックの回数とともに変わります。(例えば7回の電気ショックで10ドル、10回で15ドルなど)どちらが何回電気ショックを受けても良いものとしています。さてどんな結果になったでしょうか。意外にも、一回の電気ショックで得られるお金が0.6ドル以上の場合、他人にあまりショックを与えないようにしたそうです。

この結果は行動経済学では初めて人が利他的に動くという証拠なんだそうです。今後はMRIなどでこのような選択を迫られたとき、どのように脳が動くのかわかっていくでしょう。性善説、性悪説どちらが正しいかは分かりませんが、時に残酷に、特にやさしく振舞う人の動きは予測できるようになるのでしょうか。

元の論文
Harm to others outweighs harm to self in moral decision making

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銀行員は仕事中はうそつきになる

銀行員は仕事の話をした後はうそをつきやすいそうです。

この実験ではまず銀行員に仕事の話もしくは余暇の過ごし方などの一般的な話のどちらかをします。その後、周りに見られていない状態で10回コイントスしてもらいます。表か裏か、自分の予想と当っていたら20ドル得られるという条件で実験します。すると、仕事の話をした後のグループは世間話のグループよりもうそをつく傾向があったそうです。ちなみに他のセクターの人ではこのような傾向はなく、銀行という特殊な環境がそういう心理を生むようです。

仕事中の銀行員と仕事直後の銀行員の話は信用できませんね。他のセクターではこの傾向はないそうだけど、政治家とかならそういう傾向示しそう。自分に正直に生きた方が自分のために良いですよ。
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(うそつき銀行員はこうなります。大和田常務の土下座は名シーンですね。)

元の論文
Business culture and dishonesty in the banking industry

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細胞の記憶を保存するDNAレコーダー

細胞内では常に様々なことが起きてます。さっきこんな分子が通ったとか、こんなシグナルを送ったなんてことが記録できれば、科学者にとってとてもありがたいことです、今回、新たに細胞のある種の記憶のようなものを数週間にわたって記録する技術が開発されました。

今回も合成生物学的な手法を使っており、従来は特定の刺激に対してタンパク質を作らせるという物であり、期間やその量もわからないし、細胞が死んでしまえば情報を取り出すことは不可能になってしまいます。今回の装置では特定の化合物にさらされたとか光の刺激を受けたといった情報をDNAに保存し、あとで取り出して調べるという物です。DNAの配列は細胞が死んでもすぐには消えず、シーケンスすればその情報を読み取ることができます。具体的な方法としてはある種のバクテリアは宿主のDNAを変えるのですが、それに使う一本鎖DNAを作り出すretronと呼ばれる遺伝的システムを使います。研究のためにまずはバクテリアの細胞を使い、特定の化合物などの刺激に対して、特殊なDNAを作り出すように操作されたレトロンを挿入しました。特定の刺激に応答し、徐々にホストのDNAが変異していくことが確認できました。そのほか光刺激なども記憶できることが確認されています。変異が多ければその刺激が強かったあるいは長期間続いたということもしることができるのです。
この技術は読み込むことも書き込むこともできます。ただし、一度記憶させると消すのは大変なのでCD-ROMと同じようにDNA-ROMとでも呼びましょう(論文の中ではSCRIBEという技術であるといってます)。今回の方法を応用すれば細胞をどんな化学物質にさらされたなどの環境状態を測定するセンサーのように使うことも可能でしょう。なかなか革新的な技術だと思います。

元の論文
Genomically encoded analog memory with precise in vivo DNA writing in living cell populations

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思考で遺伝子制御

先日人の思考を機械で伝え、他の人を動かす研究に関する論文を紹介しました。今回、思考によって遺伝子制御をする方法についての紹介したいと思います。

近年、合成生物学と呼ばれる分野が発展しつつあります。これは、今までになかった特徴を持ったタンパク質や場合によっては生物を生み出す研究分野です。この分野特にでは、光、ガス、電波のような刺激に応答する遺伝子スイッチの設計が著しく進歩しています。一方、サイバネティクスの分野では、先日紹介した話のような脳コンピューターインターフェースによる脳波の処理によって他の物を動かすヒューマンマシンインターフェースが開発されています。

今回、、近赤外光が当たると ​SEAP (​secreted alkaline phosphatase)という遺伝子を活性化するように作られた細胞を含む移植材料を作りました。この遺伝子の活性化によって、タンパク質が産生されます。この研究では、無線でスイッチを入れることができるLED素子を細胞と共にマウスに移植しました。この無線制御システムは、人に脳波を読み取る脳コンピューターインターフェースを付けて、その人が精神を集中すること、移植されたLEDのスイッチのオンオフができます。これにより、人の精神状態によってマウスにおける特定の遺伝子の発現の制御に成功しました。

今のところこの装置は、臨床応用からは程遠いですが、いわゆる光遺伝学的デバイスの利用に用いることができます。また、このような研究が進むことで、精神的な苦痛を感じた時に、ストレスを緩和する薬を放出するという装置を作れば、ストレスの少ない生活というのも可能になるのかもしれません。

元の論文
Mind-controlled transgene expression by a wireless-powered optogenetic designer cell implant

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リズム感が無いヒトだってリズム感はある

世の中には不思議な人がいて、耳は聞こえるのにリズムが全く分からないという極度にリズム感がない人が極まれにいます。普通の人からしたらどうして耳が聞こえるのに、リズムが分からないのか理解しかねるかと思います。新しい研究で、これはリズム感がないのではなく、それを動きに変えられないからだという主張をする論文が発表されました。
この実験では二人のリズム感のない人と二人に人に協力してもらいました。まずメトロノームの音を聞いてそのリズムを再現してもらいました。するとリズム感がない人でもそのリズムを再現でき、リズム感がないという表現が正しくないとする結果が出ました。次にメトロノームのリズムを変え、再度そのリズムを再現してもらうと、普通の人は簡単に再現できたのに、リズム感がない人はそれができませんでした。

筆者はこういった人はリズムがないのではなく、リズムを動きに変えることができないのだと主張しています。リズム感がない人って、ブラインドでストップウオッチで10秒測るゲームをしても普通の人並みの成績なのかな?まあ世の中には耳が聞こえなくても作曲できるわけだし、リズム感が無くても音楽活動は出来たりするのかも。

元の論文
Losing the beat: deficits in temporal coordination

猫がペットになった時

ヤマネコと飼い猫は姿、形はそっくりですが、性格は全く違います。ヤマネコは獰猛で、基本的に人になつきません。その一方で、ペットショップなどで見かける、ペット用の猫は一万年にわたる家畜化のお蔭もあり、人に牙をむけることはほぼありません。今回、猫のゲノムを調べ、この性格の違いを引き起こす遺伝的な原因を探る研究が報告されました。

猫が人間社会に入ってきたのは約9500年前と言われ、農畜産を初めた比較的初期の頃と言われています。そのご、ここ1000年くらいの間に、体は小さく、毛の色やパターンが変化し、社交的な性格になったとされています。これは人が交配をコントロールしたというよりも、猫が自分で家畜化という進化の道を選んだとされています。今回、ペット用猫、ヤマネコ、その他の生物のゲノムを比較し、急速あるいは多様な変化を示した281個の遺伝子を見つけました。この遺伝子の中には猫にとって重要な聴覚、視覚、触覚に関連するものが見つかりました。一番興味深い点は、獰猛な性格から社交的になるにかかわる遺伝子が少なくとも13個はあるということが分かりました。このうちのいくつかはマウスのノックアウトの研究で、認知能力や学習能力にかかわるとされるものも含まれていました。認知能力や学習能力などはペットとして生きていくうえで必要な能力であり、新しい場所や人に囲まれても大丈夫かなど関わります。さらに5つの遺伝子は神経堤細胞と呼ばれる、頭蓋骨の形から毛の色まで様々な部分に影響を与える細胞の遊走にかかわるものでした。

近年、神経堤細胞は家畜化のマスターコントローラーではないかとされています。昔、手の付けられないような凶暴な性格を矯正するためにロボトミーという手術が行われていた時期があります・ロボトミー手術は脳の一部や右脳と左脳を繋ぐ脳梁を切るなどする手術です。これは効果が絶大だったそうで、ノーベル賞も与えられましたが、うまくいかない事例も多く、人間性を失う場合も少なくなく、今では行われていません。もしかしたら、今回のような研究が進めば、言葉は適切ではないでしょうが、凶暴な性格のヒトを家畜のように従順な性格に変えることも可能かもしれません。倫理的な論争を巻き起こすのは必至ですが。
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(イリオモテヤマネコ。こういった絶滅危惧種も大人しくさせることで、飼育が容易になり、個体数を増やして絶滅を避けられるかも?画像はwikipwdiaより。)

元の論文
Comparative analysis of the domestic cat genome reveals genetic signatures underlying feline biology and domestication

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