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Natureが選ぶ今年の10人

早いもので今年ももう終わりですね。
先日Nature誌が選んだ今年の科学者10人が発表されました。今日はこの人たちを簡単にですが紹介したいと思います。

ANDREA ACCOMAZZO (European Space Agency)
この人は彗星探査機ロゼッタの責任者。ロゼッタは今年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着しました。要するにイトカワへ行ったはやぶさみたいなものです。

SUZANNE TOPALIAN (Johns Hopkins)
この人はがんの免疫療法の臨床実験を実施した人。ガン免疫療法とはガンを薬でやっつけるのではなく、自分の免疫力で退治させる方法。方法はいくつかあるのですが、今回のはT細胞のブレーキであるPD-1というタンパク質の働きを阻害するというもの。日本ではニボルマブという抗体(抗PD-1抗体)が悪性黒色腫の治療薬として製造販売が承認されましたが、主にこの人の結果をもとに承認が下りました。その後アメリカのFDAも別の抗PD-1抗体をされました。ガンは先進国で死因のトップであり、今後免疫療法は大きな市場になると期待されています。ちなみにPD-1というタンパク質は京大の本庶先生という方が発見しました。

RADHIKA NAGPAL (Harvard University)
大量のロボットをコントロールするシステムを開発した人。アリやハチなど、中心となるリーダー無しに集団行動をする生物を参考に作られました。自己組織化によって個々が動くことでkilobotと名づけられた小さロボットが様々な形を作り出すことに成功しました。もしかしたら将来ロボット同士がコミュニケーションをとりながら存在する、そんな未来を感じさせてくれます。

SHEIK HUMARR KHAN (医師)
エボラウイルスと闘った医師。今年の大流行したエボラ出血熱に対し、最前線で戦い、そして亡くなった人です。エボラウイルスのDNA配列を解読もしました。個人的にはノーベル平和賞ものじゃないかと思います。

DAVID SPERGEL(Princeton University)
宇宙誕生の際、ビッグバン直後に急速に宇宙が進化したと考えられており、その理論をインフレーション理論といいます。その証拠となりうるものに重力波という相対論で予期される波があるのですが、これを観測できたという報道がハーバード大のJohn Kovacという人から出てきました。ノーベル賞級の発見だと話題になりましたが、このDAVID SPERGELという人は、その発見はアーティファクトであるとの考えを示し、話題になりました。結局John KovacはSpergenを納得させることが出来ておらず、今後の進展が待たれるところです。

MARYAM MIRZAKHANI(Stanford Univrsity)
「リーマン面とそのモジュライ空間の力学と幾何学に関する顕著な業績」を理由にフィールズ賞を受賞した人。フィールズ賞は数学のノーベル賞とも呼ばれるもので、女性受賞者は初。申し訳ないけど研究内容は難しすぎて私には理解できていません。

PETE FRATES
今年話題になったアイスバケツチャレンジの発案者(の一人)。PETEはもともと大学の野球選手でしたが、2012年にALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されました。その後、ALSの啓発のためにアイスバケツチャレンジを始めたそうです。

KOPPILLIL RADHAKRISHNAN(Indian Space Research Organisation)
火星探査機Mangalyaan(非公式な名称)を火星に到達させた人。アジアの国でははじめて火星へ探査機を到達させ、インド科学界の隆盛を感じさせてくれました。

MASAYO TAKAHASHI(理研CDB)
iPS細胞による再生医療を実施。加齢黄斑変性患者へのiPS由来の網膜細胞移植手術を行いました。世界初の臨床研究です。STAP細胞騒動にゆれる中、日本の科学に希望の光を照らしたのではないかと思います。


SJORS SCHERES(MRC Laboratory of Molecular Biology)
RELIONというソフトウエアを作った人。RELIONはクライオ電子顕微鏡による3次元イメージの再構築を行うもの。これまでのものでは再構築した画像が初期値の微妙なずれで大きく変化してしまうという問題があったのですが、これを克服し、今年リボソームの構造を解明しました。リボソームは複数のタンパク質やRNAからなる複合体で、X線構造解析やNMRによる構造解明の難しいものでした。その点、クライオEMはその問題が無いので、構造生物学にとって大きなターニングポイントになりそうです。

他に、来年の注目の人として
1)環境改善へ向けて大きく歩き出すと考えられる、中国の環境省のトップ、Xie Zhenhua
2)NASAの冥王星探査機ホライゾンの責任者Alan Stern
3)エボラと戦っているMédecins Sans Frontièresの国際理事Joanne Liu
4)ヨーロッパの核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設 であるITERのBernard Bigot
5)マイクロソフトの創業者の一人、ポールアレンの出資により作られたAllen brain instituteがAllen Institute for Cell Scienceとなり、そこのトップとなったRick Horwitz
を挙げています。詳しくは情報元の記事で。

情報元
365 days: Nature's 10
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体重を減らす”第三”の手段

命が危険にさらされるほどの肥満の場合、腸を外科的に切除する場合があります。これまで、命に係わるレベルの場合、腸の切除は唯一の対策でしたが、もしかしたらナイフを使わずに腸を切除した時と同じくらいの効果が得られるようになりそうです。

腸を切除することがなぜ肥満の対策になるかというと、一つには栄養を吸収しにくくなることがあります。実はそれだけでなく、腸に関連したホルモンの放出が変わることにもあるといわれています。腸に関連したホルモンにはglucagon-like peptide-1 (GLP-1), gastric inhibitory peptide (GIP)そしてグルカゴンの3つがあります。GLP-1とGIPは食後に血糖値を元のレベルに戻す役割をもり、GLP-1はおなかいっぱいというシグナルを脳に伝えています。肥満になるとこのホルモンに反応しにくくなります。グルカゴンは逆に肝臓で脂肪から糖を作らせ、血糖値を上げる役割を担い、体重を減らすうえでも重要なものです。これまでも、これらのホルモンを利用し、肥満の対策に使う研究がされてきましたが、副作用が強いなどの問題がありました。今回、これらの3つのホルモンの一部を合わせて一つの分子としたものを作りました。これにより、それぞれのホルモンとしての機能を維持しつつ、他のホルモンを刺激しない薬の作製に成功しました 。今回はラットとマウスでその効果をためし、腸の切除と同等の効果をしましました。肥満ラットの脂肪は3分の一になり、3週間で血糖値も正常レベルまで戻ったそうです。

この研究には相当な時間がかかったそうで、GLP-1とglucagonをくっつけた後、GIPの一部を適切な位置にくっつけるのに数年かかったそうです。合成生物学的なアプローチは期待できる効果は非常に高いけれど、作るのは簡単ではないのでしょう。

元の論文
A rationally designed monomeric peptide triagonist corrects obesity and diabetes in rodents

肥満から守る脂肪細胞

世の中には太りやすいヒト太りにくいヒトがいます。どちらが良いとは一概に言えませんが、太りにくい体質にあこがれるヒトは多いのではないでしょうか。今回、痩せた人の脂肪組織に長期間存在し、炎症から守る機能を持つiNKT細胞とよばれる独特な免疫細胞の性質が詳しく明らかになりました。

iNKT細胞は脂肪組織に多く存在し、特異的な脂肪分子を認識します。それにより肥満が誘発する炎症やグルコース不耐性を防ぐ役割を果たしています。肥満が発症すると、内臓脂肪のiNKT細胞が減少すると言われています。今回、脂肪組織のiNKT細胞と他のiNKT細胞を比較したところ、特殊な遺伝子発現パターンを示すことがわかりました。脂肪組織のiNKT細胞は、サイトカイン( 細胞から放出されるタンパク質で、細胞間のコミュニケーションに使われる)の一種であるインターロイキン10とインターロイキン2を生産していました。これらの遺伝子は通常脂肪細胞では作られないず、免疫系細胞で作られるタンパク質です。このおかげで痩せた人の脂肪組織では、抗炎症性マクロファージ群が維持され、これにより制御性T細胞の数が調節されるものと考えられます。

iNKT細胞の持つ急速にサイトカインを生産する能力は、これまで自己免疫疾患やがんの動物モデルの免疫応答を操作するのに使われてきました。今回の知見から、iNKT細胞が肥満や代謝疾患の治療標的にもなる可能性が考えられます。

元の論文
Regulatory iNKT cells lack expression of the transcription factor PLZF and control the homeostasis of Treg cells and macrophages in adipose tissue

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

タバコでY染色体が消える

男性喫煙家に悲しいお知らせです。喫煙によりY染色体がなくなってしまう可能性が非喫煙家の4倍も高くなってしまうそうです。Y染色体の損失は寿命に関連しているといわれ、喫煙者の寿命が短くなる理由は病気のリスクが高まると理由だけでなく、こちらも原因になっている可能性が高まってきました。
今回の実験はスウェーデンで行われ、定期的に合計6000人の男性の血液を採取、検査しました。そしてY染色体の喪失と関連が認められた要因を探っていったところ年齢と喫煙が見つかりました。

別にY染色体がなくなったからと言って、死に至るというわけではありませんし(女性はY染色体がないので当然ですが)、普通に生活していてもY染色体が喪失することはあります。(女性はY染色体がないので当然ですが)今回の実験ではY染色体の喪失と喫煙に直接的な関係があるかは不明確です。とはいえ、年を取った人の方が様々な病気にかかりやすいですし(年よりの方がY染色体が喪失するケースは多い)、染色体レベルでの変異となれば何も起きないとは考えにくいですから、具体的なパスウェイは不明ですがY染色体の喪失と病気のリスクは関連してそうだなと個人的には思います。

元の論文
Smoking is associated with mosaic loss of chromosome Y

テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

アルコールの消費と進化

みなさんはお酒を飲むでしょうか。お酒は普通の食事と違って好き嫌いだけでなく、遺伝的に飲める飲めないという要因があります。人が進化をする過程でエタノールを消化する能力を得たわけですが、いつごろ得たのでしょうか。今回、この能力を獲得したのは約1000万年であるという報告がありました。

エタノールを消化するキーとなる酵素がアルコール脱水素酵素のADH4という遺伝子です。霊長類はすべてこの遺伝子を持っていますが、効果的に消化できなかったりして、すべての生物がアルコールの消化をできるわけではありません。そのためADH4を獲得した時期と実際にお酒を消化できるようになった時期というのは異なっていると考えられるのです。

今回、その時期を探るため、19種類の霊長類のADH4遺伝子のDNA配列を読み取りました。その配列を元に霊長類の歴史と共にADH4遺伝子の変遷を探り、さらに各時代のADH4タンパク質を作って消化能力を調べていきました。すると5000万年前までのADH4はほとんどエタノールを消化する能力はありませんでしたが、1000万年前ごろから効果的にエタノールを消化するADH4が現れてきたそうです。

ちなみにこのころは人、チンパンジー、ゴリラの共通の祖先がいたころで、地球の気温が下がり、食事変化した時期なんだそうです。お酒は飲んでも飲まれるな!お酒はほどほどに。

元の論文
Hominids adapted to metabolize ethanol long before human-directed fermentation

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

ジェームス・ワトソンのノーベル賞が410万ドルで落札

今日は堅苦しい話ではなく、軽ーい話を。

生物学の分野では20世紀最大の発見と呼ばれるDNAの二重らせんの構造の解明。この発見者の一人ジェームス・ワトソンがノーベル賞をオークションに出していたのですが、それが410万ドル(約4億9千万円)で落札されたそうです。ちなみに今は亡きフランシス・クリックのノーベル賞も昨年オークションに出され、227万ドルで落札されています。これにてワトソンは存命中にノーベル賞を売った初めての人になりました。

ワトソンはメダルを売った理由はお金のためで、大学に寄付するか、デイヴィッド・ホックニー(芸術家の名前)の絵を買うと語っているそうです。ワトソンは失言が多いことでも有名で、過去に人種差別を思わせることを話して批判されたりなんかしています。

口は災いのもとだよ、ワトソン君。

情報元
James Watson Throws a Fit

恋愛に遺伝的要因があるかも

中国漢民族の大学生グループにおける恋愛にDNAが影響する可能性を示唆する報告が、報告されました。恋愛行動は、脳内のセロトニンという神経伝達物質の濃度と関連していることが既に知られており、今回の研究では、恋愛関係になる可能性がセロトニン受容体をコードする遺伝子の複数の多様体と関連しているらしいということが明らかになりました。

今回、中国漢民族の大学4年生579名を対象として、5-HT1A(セロトニン濃度を低下させる受容体)をコードする遺伝子の変異の影響を調べました。特に、この遺伝子の1019番目のDNAの塩基がCかGという、2つの遺伝子多様体(GアレルとCアレル)に着目しました。Gアレルは、Cアレルより5-HT1A濃度を大きく上昇させていました(つまりセロトニン濃度が低く保たれる)。そしてアレルを1コピーまたは2コピーもっていると、恋愛関係になる可能性が低くなることを明らかにしまた。Cアレルを2コピー持っているの50.4%が恋愛関係にあるのに対し、Gアレルを1コピー又は2コピー持っている人はの39.0%が恋愛関係にあったのです。この関連性は、恋愛関係に影響する他の要因(例えば、社会経済的状況、外見、宗教的信念、子育てのスタイル、抑うつ症状)を考慮に入れた場合でも維持されると考えられています。

ただし、この知見は中国の漢民族という限られた集団を対象にした研究であり、日本人などのグループの人々で再現できるかどうかは分かっていません。恋愛関係の形成に遺伝要因が寄与していると考えられる反面、別の要因(例えば、社会的特質や個人的特質)によって遺伝的要因が目立たなくなる可能性は当然あります。恋愛体質だなんて言う人がいたりますが、もしかしたらそういう人たちに共通する変異があり、遺伝的要因によってそうなるのか興味深いところではあります。

元の論文
The association between romantic relationship status and 5-HT1A gene in young adults

テーマ:雑学・情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

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