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3 minutes to midnight

今回は論文ではありませんが、小ネタをひとつ。

イギリスにiron maidenというの有名なロック・メタルバンドがいます。その代表曲の一つに2 minutes to midnightというものがあります。そして、現在、世界は3 minutes to midnightの状態にあるという情報が入ってきました。

何の話かというと、世界終末時計(Doomsday clock)の話です。核兵器や環境汚染などにより人類の滅亡(自滅?)を午前零時になぞらえ、その終末までの残り時間を「零時まであと何分」という形で象徴的に示す時計です。(wikipediaより)終末時計は仮想的なものであり、世界が安全になったと判断されれば時計は戻るし、危険な状態になったと判断されれば針が進みます。判断はBulletin of the Atomic Scientistsという組織が行っており、これまでは世界の終わりまであと5分だったのですが、2分進めるという判断がくだり、後3分となりました。針を進めた理由にはおもに環境と核兵器の2つがあります。気候変動は既に変化がおき始めているにもかかわらず、いつまでにどうするかという部分が不十分であるためとしています。核兵器に関しては、核軍備競争が進んでいることを懸念してとのことです。

これまでに滅亡に近づいたのは米ソが水爆の実験に成功したころで、滅亡まであと2分という状態でした。(アイアン・メイデンの2 minutes to midnightはこの時の世界終末時計のことを歌っています)。逆にもっとも滅亡から遠いときはソ連が崩壊したころで、17分でした。環境問題ももちろん、今はISISなどをはじめ、戦争をしている国や地域はたくさんあり、核が使われるリスクが高まっています。なんとかして時計の針を戻していきたいものです。


(アイアン・メイデンのアルバムpower slaveの中の一曲、2 minutes to midnight)
Doomsday clock (世界終末時計)
世界終末時計の針を戻そうという組織のturnbacktheclock.org
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脳の大きさを決める8つの遺伝子

人間は考える葦であるなんて言うように、頭を使うことは人間の大きな特徴というえます。生物種間で比較した場合、必ずしも脳が大きければ知能が高いとはかぎらないですが、人間同士で比較した場合、特定の脳の分野が大きいほど、その分野が担う機能が優れている傾向にあります。したがって、脳のどの部分が何によって大きさが変わるかというのは興味深い点であると言えます。今回300以上の研究者のコラボによって行われたENIGMAプロジェクトの報告がありました。これは30000人以上の人の脳をMRIで撮影するとともに、SNPs等の遺伝的バリエーションなどとの関係を調べたものです。

今回は特に海馬(記憶にかかわる領域)、尾状核(深く考えなくても自転車に乗れるなどの自発運動のコントロール)、被殻(走るなどの考えて動く時に働く)に注目しました。結果として、海馬に影響を与える既知のSNPsに加え、脳のの縮小に関わるSNPsが合計8つ見つかり、特に被殻は影響を受けやすかったそうです。このような遺伝的な変異により、脳の体積にして約1.5%ほどの影響が出ることがわかりました。特にKTN1という遺伝子のバリエーションの影響が多いそうです。

今回見つかった遺伝子のは神経の発生にかかわるものが多いということもわかっています。もちろん特定の変異を持っているからと言って、能力的な優劣をつけることは(少なくとも現段階では)できないし、病気との関連も不明ですが、今後研究が進めばこういったことに応用されるかもしれません

元の論文
Common genetic variants influence human subcortical brain structures

ストレスが心臓に来るわけはミトコンドリアにある

皆さんが経験したことあるかは分かりませんが、強いストレスを受けると心臓にその影響が顕著に出て、動悸が激しくなるなどの症状が出てきます。では、ストレスは本来脳で感じるものなのに、心臓に負担がかかる理由はなぜなのでしょうか。今回その分子レベルでのメカニズムが明らかになってきました。

運動をしているときだけでなく、恐怖などのストレスを感じると、これに反応して「戦うか、逃げるか」の二者択一を自分に迫り、心拍が早くなり、高い代謝が必要となります。今回、エネルギーを産生する細胞小器官であるミトコンドリアに注目しました。ミトコンドリアは膜が二重になっているのですが、その内膜にカルシウムイオンの輸送に関与するミトコンドリアカルシウム単一輸送体(MCU)というのものが存在しています。正常なマウスも、MCUの異常なマウス(KOではなく、ドミナントネガティブを使用)も、安静時の心拍数が正常です。しかし、拘束状態に置くなどのストレスを与えると、正常なマウスは心拍が速くなるのに対し、MCU異常マウスは心拍数が通常のマウスほど増加しないという結果でした。

現在用いられている心拍数を抑えるための薬には、安静時心拍数も下げてしまうという効果があり、問題になっています。もし、MCUを標的とする治療法が確立すれば、安静時心拍数に影響を及ぼさずに異常な心拍数増加を抑えることができる、より有益なものとなると考えられます。もちろん一番良いのは過剰なストレスがかからないようにすることです。でもなかなか難しいんですけどね。

元の論文
The mitochondrial uniporter controls fight or flight heart rate increases

科学における性差

日本は男尊女卑だとし、男女差別を無くそうという運動があり、雇用機会均等法などに代表されるように法的にも男女平等に扱うように規定されるようになりました。しかし、一般に言われることですが、理系学部、特に数学科や物理学科では女性の割合が少ないです。これは果たして性差別があるからなのでしょうか、それともうまれもった能力が違うのでしょうか。もし、生まれ持った才能の違いがあるとしたら、理系的な才能を求められる職種では、優秀な女性が育ちにくく、均等に雇用機会を与えても女性が採用されにくくなる、ということになります。昔から、男女間の能力に差があると考えている人は多いですが、これを示す客観的な証拠を示した人はいませんでした。今回、男女差に先天的な「理系の才能」の差があり、学部・学科での男女比の差を生み出していることを示す報告がされました。

今回の研究では、30種の学部で、2011年にアメリカで博士号を取得した人と、大学院生、ポスドク、教授などを比較しました。ここでは、男女間に本質的なさがあるという仮説以外にも、男女間で働く時間が違うという仮説や、そもそもの男女比、情熱、勤勉さなどに起因するという仮説も立て、検証しました。結果、生まれ持った才能が必要なとなる分野ほど、女性の比率やPhDの取得率が低いことが分かりました。
結論としては数学や物理のような、努力で得られないようなある種の才能が必要な学部ほど女性の割合が低くなる原因として、女性はそのような能力を持たない(あるいは能力はあるが認められない)と考えるのがもっとも良く説明できるということでした。

もちろん、ほんとうに数学や物理には才能が必要かなどの批判はあります。また、裏を返せば、女性の割合が高い学部で必要となる能力は、男の人は持たない傾向があるといえます。
過去にはハーバード大学学長を務めていたローレンス・サマーズという人が、2005年に女性が統計的にみて数学と科学の最高レベルでの研究に適していないとした発言をし、批判を受けて学長を辞任にまで追い込まれました。しかし、今回の結果が示す限り、この意見は間違いではないということになります。(もちろん平均的な男の人よりも数学的な能力が高い女性もいるし、優秀な科学者の女性もいるので表現がよろしくないかもしれませんが。)今、色々な分野で、女性管理職等を増やせという意見があります。しかし、その職に求められる能力を良く考えずに、女性の割合を画一的に決めてしまうのは、組織にとってマイナスになるのかもしれません。個人的には男女間に性差があるということと、性差別をするということは別問題として取り扱わなければならないと思います。

最後に、この論文に対して不快に思う女性もいるかと思いますが、この論文の第一著者は女性であることも付け加えておきます。

元の論文
Expectations of brilliance underlie gender distributions across academic disciplines

免疫力には遺伝よりも環境が大切

人間からだが資本であり、健康な体のためには免疫力が大切です。では、免疫力は遺伝で決まるのでしょうか、それとも環境が大切なのでしょうか。今回、双子の実験より、環境のほうが大切らしいことが分かってきました。

今回は一卵性の双子と二卵性の双子を比較しました。もし免疫力が遺伝によって決まるとしたら、一卵性の双子は遺伝的に同一なので、二卵性の双子よりも似たような免疫機構を持つはずです。しかしながら、遺伝が免疫機構を決めるとはいえないほど、お互いの組み合わせ間に差が無かったそうです。
さらに、若い双子ほど年老いた双子よりも似ていて、こちらも環境による影響が大きい事を示唆しています。

細かく言えば他にも色々な免疫のファクター(例えばインフルエンザワクチンに対する反応など)を著者らは調べていますが、割愛します。

まあ、然して新しい発見というわけではありませんが、仮に体が丈夫でない人でも、その人のお子様は丈夫な体の人にすることが出来るということです。食事や、環境を良く考えるといいかもしれません。

元の論文
Variation in the Human Immune System Is Largely Driven by Non-Heritable Influences

コンピュータは友達よりもあなたのことを知っている

人間生きていくうえで、その人柄を評価されることは避けられません。たとえ友達にはうまいこと良い人を演じることが出来ても、コンピュータはその人の本性を見破ってしまうかもしれません。

今回の研究はfacebookのmyPersonalityというアプリを通して、5大性格(外向性、情緒安定性、誠実性、協調性、開放性)テストを行った86,220人に注目しました。この人たちがどんなfacebookページに「いいね!」をしているかを基に性格を予測しました。比較として、その人たちの友人たちからの評価も調べました。結果、コンピュータがはじき出した結果のほうが性格テストの結果に近く、その人の性格を見破っていることが分かりました。

こういった情報はマーケティング等には不可欠でしょうし、欲しがる人はたくさんいるでしょう。個人の名前と性格は関連付けられないようにしているでしょうが、快く思わない人もいるでしょうね。

元の論文
Computer-based personality judgments are more accurate than those made by humans

仲間がいると勇敢になる

仲間は臆病者の生き物を勇敢にしてくれることがわかりました。

今回の実験ではラットを使っています。まず一匹のラットを大きく、慣れていない部屋に入れて部屋の中を探検させます。二日後、ラットを再度大きく不慣れな部屋にいれました。この時、一匹だけの場合と良く知っている仲間と一緒に入れた場合を比較しました。すると、仲間がいる時は、いない場合と比べて、初めての場所でも積極的に探検に出ました。さらにその後、再度一匹で不慣れな部屋に入れても、積極的に探検に出たそうです。

今回の実験はラットでのものです。でも人間でも同じですね。不慣れな場所、たとえば初めて海外に行く際、一人では勇気がいりますが、友達と一緒だったら、不安よりも楽しみが大きくなるのではないでしょうか。さらに何度か海外を経験すると、初めての場所に一人で行くのも怖くなくなるんじゃないかと思います。きっとリスクを伴う、勇気のいる仕事など新しいことをするときも信頼できる仲間とならきっとできるはず。友達は大切にしましょう。

元の論文
“Shall two walk together except they be agreed?” Spatial behavior in rat dyads

前立腺ガンのパラドクス

テストステロン、いわゆる男性ホルモンは前立腺ガンの成長を促進すると言われています。にもかかわらず、一部の患者でテストステロンが治療できないレベルの前立腺ガンの進行を止めたという報告がありました。

前立腺ガン患者ではテストステロンが上昇し、ガン細胞が増殖しやすいことが昔から知られていました。そのため、一般的に、化学的な去勢により、テストステロンの生産を抑制します。すると、最初は良いのですが、そのうち耐性ができてしまい、効果がなくなってしまいます。今回はこのような耐性ができてしまった患者16人を対象に実験を行いました。もうすでにガンが転移して、手遅れなレベルの患者です。今回は化学的な去勢を行う薬を投与しつつ、テストステロンを28日ごとに注射したそうです。最初は通常よりも高レベルのテストステロンが血液中に見られますが、時間と共に低くなっていきます。このようなテストステロンレベルの変動を繰り返しました。16人中2人は副作用のため中断し、残りの14人の半分人では前立腺ガンの進行は止まりませんでしたが、半分では転移したがん細胞も含め、腫瘍組織が縮小していき一人は完全に治ったそうです。しかし、時間と共にその効果は薄れていき、7か月後から再度ガンの増殖がはじまったそうです。

なぜ、患者によって差が出るかは今のところ謎です。個人の遺伝的なものなのか、ガンの変異のタイプによるものなのかもわからないですし、正確な作用機序もわかっていません。同じものが患者にとって薬にも毒にもなるということで、医者や患者にとってはこの治療をするのはリスクが伴いそう。副作用もあるみたいですし、もう手遅れだけど、どうしてもという患者さんがいない限りなかなかできない方法なので、この方法が確立するまでには少し時間がかかるかもしれませんね。

元の論文
Effect of bipolar androgen therapy for asymptomatic men with castration-resistant prostate cancer: Results from a pilot clinical study

ほぼ最強のポーカーマシーン

近年ロボットの知能の発達は著しく、97年にチェスの世界王者がIBMのDeep Blueに敗れて、人間の知能が機械に負けたと話題になりました。それ以降、機械対人間の頭脳戦は行われており、将棋でも最近は、プロが負け越したりしており、ロボットの知能はますます上がっていく一方です。今回、カードゲームでも最強のマシーンができました。公平なルールならほぼ負けないポーカーのアルゴリズムが作られました。

チェスや将棋と違ってポーカーの問題を解く難しさは、相手がどんなカードを持っているかわからないという不確定な要素にあります。こういった不確定な要素が含まれる問題を解くために、経済学の分野ではゲーム理論というのがあります。基本的にはこの考えに則っています。今回、対象としたルールはテキサス・ホールデムとよばれる一般的なポーカーのルールです。今回はプレーヤー2人とし、割と計算はしやすい条件を選んでいます。アルゴリズムの中身の詳細は避けますが、基本的には counterfactual regret minimizationというアルゴリズム(あの時こうしておけばよかったという後悔を最小化するアルゴリズム)を改良した物です。もう一つの今回のチームが改良したのはそのデータ容量で、そのまま解こうとすると 262 terabytesのデータが必要となり、計算が遅くなってしまうのですが、これを圧縮することで11テラバイトまで下げることに成功しました。もちろん絶対に負けないわけではないのですが、一生のうちにできるポーカーの回数を考えると、負ける回数は0回以下になるそうです。

現実世界ではこのような不確定な要素が混じることが多く、ギャンブラーだけでなく、ゲーム理論の研究をしている経済学者にとっても、ビジネスマンにとっても興味深い内容だと思います。私がこのアルゴリズムの開発者だったらすぐにカジノに向かっていたでしょう。開発者の人はそうしなかったようなので、きっと人間ができているのでしょう。

元の論文
Heads-up limit hold’em poker is solved

Natureが選ぶ2015年期待の分野

あけましておめでとうございます。
最近サボり気味ですが、本年もよろしくお願いいたします。

今回は新年最初の投稿になるので、今年一年の科学の展望という意味で、今年期待の分野を紹介しようともいます。

Particle smasher
こちらは大型ハドロン衝突型加速器(LHC)をもちいた研究です。LHCはスイスとフランスの国境付近にある、全長27キロの環状になっている世界最大の素粒子加速器です。簡単に言えば陽子ビームを加速させ、ぶつけることで素粒子を取り出そうというものです。この機械は以前からあり、ヒッグス粒子の観測に成功しています。しかしながら、2013年からビームエネルギーとビーム輝度の増強のためにシャットダウンしていました。今年3月に再始動する予定で、現在の素粒子に対する理論的な結果と実際に観測された現象のギャップを埋めてくれると期待されています。

Climate deal
これは環境問題のことです。昨年2大CO2排出国である中国とアメリカが温室効果ガスを減らすための公約を結んだことで、2020年以降の環境対策に関する世界的な方針が決まると期待されています。(2020年まではいわゆるポスト京都議定書で決まっている)

End of Ebola epidemic
昨年大流行したエボラウイルスのパンデミックが終了することが期待されています。この背景にはワクチンや薬のトライアルが始まることがあります。

Trips to dwarf planets
こちらはNASAの探査機Dawnです。昨年はロゼッタが彗星にたどり着いたことが大きな話題になりましたが、今年はDawnが火星と木星の間にあるケレスという準惑星に到着予定です。ケレスには水が存在していると考えられており、地球外生命体の発見に非常に大きな期待が寄せられます。また、NASAは今年、ホライゾンが冥王星に最接近する予定で、冥王星の大気の状態なども判明する予定です。

Shiny new labs
今年多くの新しいラボがオープンします。およそ10億ドル(大体1200億円)をかけたフランシス・クリック研究所を始めとし、National Graphene Institute 、Allen Institute for Cell Science など大規模な研究所が開設されます。

Cholesterol-busting drugs
コレステロールを減らす薬の開発が期待されています。PCSK9というタンパク質をターゲットとした薬の臨床実験が行われ、今年承認がおりると期待されています。

Waves in space-time
LIGOという組織が行っている重力波の観測実験です。アインシュタインによって存在が予測された、時空間の概念を考える上で非常に重要なんだそうです。

Answers to ancient riddles
400,000年前の初期の人類言われるシマ・デ・ロス・ウエソス人のゲノム配列の解読です。現代人や他の古代人との比較から進化の過程が明らかになるかもしれません。

Political manoeuvres
各国の科学政策に大きな変化がおきようとしています。ロシアでは450の研究所の見直しが行われ、イギリスでは三人の親から体外受精によって子供を作ることの是非が問われます。(三人の親というは核DNAは普通の父と母由来で、ミトコンドリアDNAが別の母由来の場合です。これによりミトコンドリアに異常がある人でも正常な子供が残せる。)他にもいくつかありますので詳しくは情報元で。

Ocean outlook
アメリカではSikuliaqとNeil Armstrong 、ドイツのSonneなどの海洋研究です。実は海は意外と未知な部分が多いです。海は気候に影響も与えるほか、特殊環境下の化学物質や生物の研究が行われるでしょう。

情報元
What to expect in 2015
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