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近視の本当の原因は?

今回は論文ではなく、Natureのニュースサイトですが、興味深い内容なので簡単に紹介します。

突然ですが、皆さんの視力は良いほうですか?世界中で近眼の人は増えていて、特にアジアでは多く、中国や韓国の一部地域では90%以上が近眼なんていうケースがあるそうです。従来、近眼の原因として、本を顔の近くに持ってきて読むとか、テレビやゲームのやり過ぎが挙げられてきました。しかし、実は近眼の本当の原因はこういったものではなく、単純に外で過ごす時間が少ないからではないかということを示唆する結果が出てきました。

近眼のメカニズムを簡単にすると、基本的には光が網膜よりも前で集光してしまうものです。これは眼球が少し伸びてしまうことによって起きます。生まれてから20歳くらいまでは眼球のサイズが大きくなる時期でもあるため、この時期に近眼になるケースがほとんどです。

原因については不明確で、遺伝的な要因もあります。他にも以前から目を酷使することで近眼になると言われてきました。
実際、学力の高い人(本を読む時間の多い人)ほど、視力が悪くなる傾向がありました。しかしながら、2000年代初頭に実際に調べてみたところ、本を読むなどの行動は大きな要因ではないということが明らかになってきました。代わりに、2007年に外ですごす時間が多い人は、本を読む時間などに関係なく視力が落ちないという結果が出てきました。さらに、鶏やサルに生まれてからずっと目に入ってくる光を制限し続けたところ近眼になったことから、光が重要なのではないかと考えられ始めています。実際、子供に外で過ごす時間を増やすようにすると、近眼になる人が少なくなるそうです。まだ具体的なメカニズムは不明ですが、強い光を目が受け取ると、網膜ドーパミンがつくられ、それが眼球の計上に関わるのではといわれているそうです。

不明な点は多いですが、もしこれが事実なら外などの強い光の下でならどんなライフスタイルであっても近視にならないということになります。常識が覆されそうです。近視は不便なだけでなく、ひどい場合は緑内障や網膜剥離の原因になることもあります。決してなめてはいけない病気です。

元の記事
The myopia boom
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ヒトの遺伝子に他の生物由来の遺伝子がある

ヒトゲノムの配列が解読されて十年あまり経ちましたが、今でもヒトゲノムに関する知見は増えています。今回新たに見つかったことは、他の生物由来の遺伝子がヒトゲノムに存在するということです。

遺伝子の伝達には2種類あり、一つは通常の親から子への遺伝です。もう一つは遺伝子の水平伝播と呼ばれる、他の生物からの遺伝子の伝達で、バクテリアでは良く見られます。高等な生物でも起きるのではないかと考えられてはいたのですが、それを証明するのはなかなか難しい問題でした。今回、著者らはハエからゴリラ、ヒトまでの40種の動物のゲノムを調べました。各生物の遺伝子が他の動物のゲノムに近いか、それとも非動物(細菌や植物など)のゲノムに近いかを調べていき、非動物のゲノムに最もよくマッチしたものを水平伝播によって獲得した遺伝子であると解釈しました。その結果、ヒトには145個の遺伝子で、他の動物には見られず、バクテリアやウイルスなどの非動物のゲノムに近いものが見つかりました。

以前からヒトゲノムにはウイルス由来と思われる配列があることは良く知られていました。しかし、バクテリアや単細胞生物由来の配列があるということで、生命の進化は系統樹でかけるような単純なものではないと考えられます。さらにこの結果から、高等生物の進化の手段として遺伝子の水平伝播が存在するということを示唆しています。

元の論文
Expression of multiple horizontally acquired genes is a hallmark of both vertebrate and invertebrate genomes

睡眠中に記憶を作る

驚いたことに、睡眠中に人為的な記憶を生み出すことができるという報告がありました。マウスで睡眠中に特定の場所と報酬との関連付けをさせることに成功し、起きた後も関連付けに基づいてマウスは行動したそうです。

脳の海馬に場所細胞という細胞があり、動物が特定の場所にいるとき、例えば右隅、左中央などにいるときに活性化します。(場所細胞の発見は昨年のノーベル賞になっています。)起きているに作られた場所細胞の活性化パターンは睡眠中にも再生され、動物の行動範囲に関する認知地図を作り上げるのに役立つと考えられています。著者らは、寝ている5匹のマウス5匹に特定の場所で活性化する場所細胞を活性化させつつ、同時に脳の報酬経路を刺激しました。これにより、特定の場所に行ったときだけ、報酬を受け取れるという記憶を作り出そうとしたのです。。コントロールのマウス2匹には報酬に関係のない刺激を与えました。マウスが目覚めたとき、報酬刺激と場所細胞の活性化をさせたマウスのみが、その場所細胞で決まった特定の場所で過ごす時間が多くなりました。つまり、睡眠中のマウスにこの場所に行けば報酬をもらえるという記憶を人為的につくりだせたと考えられます。

これまでに、マウスで光遺伝学的手法を使って、記憶を人為的に操作できることが示されていましたが、睡眠中の動物で記憶の操作に成功したのは初めてです。ヒトで起こり得るのかは、わかりませんが期待し出来そうです。

元の論文
Explicit memory creation during sleep demonstrates a causal role of place cells in navigation

ミミウイルスの3Dイメージングに成功

知られているウイルスの中で、最も大きいウイルスの一つであるミミウイルスのX線イメージングに成功しました。

今回の実験では、サンプルを結晶化せずに、そのままX線レーザーを照射し、試料の回折光を検出するということを何回も繰り返し、3次元イメージの再構築をするというものです。ミミウイルスは他の方法でもっと高い分解能でのイメージングにも成功しており、今回の結果に生物学的な意義はあまりありません。しかし、この結果がもたらしたものは大きいです。X線レーザーは非常にエネルギーが強く、一回照射すればサンプルが壊れてしまいます。しかもX線は生体試料にあたっても散乱がほとんど起きません。そこでサンプルが崩壊する前にX線が通り過ぎるような超短パルス光をあて、その時に生じた回折光から像を回復させるという方法が提唱されていました。2Dではこれまでにも成功していたのですが、3Dの場合、特殊な試料でのみ可能な方法でした。今回の実験から、同一の構造を持った試料が手に入るなら、どんな試料でも3Dイメージングが可能であることを示しています。

今回の結果では空間分解能は125 nm程度で、さほど高くありません。タンパク質や生体物質の複合体の構造も調べることが可能であると考えられます。今後研究が進み、さらに大きいサンプルに対応し、分解能が上がれば細胞丸ごと原子レベルでのイメージングが可能になるのではないかという期待もできます。

元の論文
Three-Dimensional Reconstruction of the Giant Mimivirus Particle with an X-Ray Free-Electron Laser

バクテリアがガンを守っている

腫瘍に隠れたバクテリアが腫瘍を免疫システムから守っているという報告がありました。

Fusobacterium nucleatumという細菌が口内にいるのですが、この細菌は早産、関節リウマチ、大腸がんなどとの関わりが示されています。今回の研究ではがん細胞におけるこの細菌の影響を調べました。まずin vitroでこの細菌はがん細胞にくっついており、TIGITと呼ばれる免疫細胞受容体を活性化することで免疫細胞を阻害していることが明らかになりました。さらに実際にメラノーマや大腸がんでは様々な免疫細胞がTIGITを発現しているのですが、それがF. nucleatumによって阻害されていました。

一部のガンではバクテリアが大量に見つかるのですが、今回のように免疫システムから腫瘍細胞を守っているからかもしれません。でも何のメリットがあってバクテリアは腫瘍細胞を守るようなことをするのでしょうか。

元の論文
Binding of the Fap2 Protein of Fusobacterium nucleatum to Human Inhibitory Receptor TIGIT Protects Tumors from Immune Cell Attack.
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