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妊娠期の母親の食事の影響は遺伝する-その2

以前、妊娠期の食事の影響は遺伝するという記事を紹介しました。この記事の研究では人を対象にし、生まれる時期によって食事が変化し、DNAのメチル化にも変化がおきるというものでした。しかし、人の場合何を食べるかしっかりと管理できず、本当に食事の影響なのか、はたまた天候などの影響ではないかと考えることができます。今回、色々な影響を管理できるマウスを使い妊娠期の栄養を変えることで、DNAのメチル化に影響が起きることが確認されました。(DNAのメチル化は遺伝子を使うか否かに大きな影響を与える重要な因子です)

みなさんもご存知かと思いますが、妊娠期の食事というのは子供に大きく影響を与えます。食事がほとんど手に入らない戦争中または直後に妊娠すると、生まれてきた子供は体が小さく、肥満や糖尿病になりやすいというデータがあります。子供だけで無く、孫も同様です。これはマウスも同じです。今回は妊娠後期のマウス(出産の約1週間前から)の食事を通常の半分にしました。生物学的に見ると、精子の中のDNAはいたるところでメチル化されているのですが、妊娠後期はメチル化が外れるタイミングです。そんな妊娠後期に栄養不足の中生まれてきたオスの子供の精子のDNAメチル化を調べてみると、110箇所でメチル化が無くなっていました。その周辺の遺伝子を調べてみると、多くのものが代謝に関わるものであり、おそらく肥満や糖尿病になりやすいのはこのせいだと思われます。実際、一部の組織ではその遺伝子の発現に変化が起きていました。しかし、不思議なことに孫世代のマウスでは遺伝子発現に変化は起きているものの、DNAのメチル化は通常のものに戻っていました。

そんなわけでDNAのメチル化はそれほど長い世代伝わっていくものではないようです。ではなぜ孫に糖尿病や肥満のリスクは受け継がれるのでしょうか。今後の課題です。また、この結果に懐疑的な人もいて、今回使ったマウスには遺伝的なバックグラウンドに違いがあり、その影響も考えられるとのことです。いずれにせよ困ったことに(ありがたいこと?)、こういったエピジェネティックな遺伝は子供だけでなく、孫などのもっと後の世代にまで影響していくので、自分の子孫のためにもライフスタイルを見直してみましょう。
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(戦後のオランダのhunger winterと呼ばれる時期にお腹の中にいた子供。体が小さいにもかかわらず、糖尿病などのリスクは高い。画像はこちらから引用。)

元の論文
In utero undernourishment perturbs the adult sperm methylome and intergenerational metabolism
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