スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

No.10 インシュレーターRNA

今回の論文
Noncoding RNAs prevent spreading of a repressive histone mark
Claudia Keller, Raghavendran Kulasegaran-Shylini, Yukiko Shimada, Hans-Rudolf Hotz & Marc Bühler
Nature Structural & Molecular Biology 20, 994–1000 (2013)

簡単に言うと
酵母でヘテロクロマチンとユークロマチンの境界でヘテロクロマチンの拡散を防いでいるncRNAを発見しましたという内容。

背景として、
昔は遺伝子はDNAの中でもたんぱく質の情報が書き込まれた部分で、RNAを介してたんぱく質になるものと考えられてきた。最近ではたんぱく質にならないRNAが細胞内に大量に存在し、しかもRNAのままで機能を持っているとことが明らかになりつつある。今回見つかったBORDERLINEというRNAもその一つ。
DNAの中にはヘテロクロマチンと呼ばれる領域とユークロマチンと呼ばれる領域があり、それぞれ、遺伝子発現量が低いあるいは高くなる。動原体になるセントロメアという領域は基本的にはヘテロクロマチン。このヘテロクロマチンの形成に重要なのがswi6 (HP1)というたんぱく質で、ヒストンH3K9me2/3と結合し、さらに隣のヒストンメチル化することで徐々にヘテロクロマチン領域を拡大していくとされる。ゲノム中にはヘテロクロマチンとユークロマチンがあるので、その境界も当然存在する。その境界領域がどうやってヘテロクロマチンの拡大を防いでいるのかというのは重要なポイント。
以前、このチームはswi6がRNAと結合することができ、そうするとH3K9me2/3と結合できなくなることを発見。もしかしたら境界領域ではswi6がRNAすることでヘテロクロマチンが拡大されなくなっていると考え、調べたところ、その通りでした。

具体的には、
まず、H3K9me2/3と結合するが、RNAとは結合できない変異swi6を発現する細胞を樹立(swi6*とする)。この細胞と普通の細胞のH3K9me2を比較すると、第1染色体のセントロメアの周辺でH3K9me2レベルが高くなっていた。これはRNAと結合できなくなることでヘテロクロマチンの拡大を防ぐことができなくなったためだろうと考えた。
次にswi6と結合するRNAを調べたところ、境界領域からncRNAが発現していることを発見。このRNAをBORDERLINEと命名。BORDERLINE領域をura3という遺伝子に置き換えたところ、ura3でもヘテロクロマチンの拡大を防げた。つまり配列には無関係にRNAと結合し、ヘテロクロマチンの拡大を防いでいる。ura3の発現を高くすると、バリア活性が高くなることも確認。
他のlncRNAはDicerによってsmall RNAになることがある。BORDERLINEの場合もDicerで切られてsmall RNAになっていた(このsmall RNAをbrdrRNAと命名)。brdrRNAについてさらに調べてみると、swi6*ではbrdrRNAが発現しなくなり、Ago1に組み込まれないことがわかった。
以上のことからBORDERLINEはDicerによってbrdrRNAになり、Ago1ではなくswi6に取り込まれ、ヘテロクロマチンの拡大を防いでいるというモデルを提唱。

個人的には
新規性が高いことは認めるけど、なんだか腑に落ちない部分がある。結局swi6とBODERLINEあるいはbrdrRNAが境界で結合しているという証拠もないし、配列に関係なくswi6とRNAが結合してしまうなら他のRNAがこの現象を引き起こしている可能性がある。煮え切らない感じ。インシュレーターのように働くRNAは未知だったし、面白みには欠けるけど大切な発見ではあるなとは思う。
スポンサーサイト

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。