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嚢胞性線維症の薬は難しい

日本人ではあまりいないのですが、白人を中心に嚢胞性線維症という病気を発症するケースがあります。CFTR遺伝子の変異によって肺の内部に粘着性粘液が蓄積することが原因となり、肺炎を起こします。悪化していくと肝臓も悪くなり、多くの場合は30代に亡くなってしまいます。問題は嚢胞性線維症の薬を作ることが非常に難しいことです。CFTRに変異が入ることで、正しいタンパク質の構造がとれないという問題と、本来細胞表面にあるタンパク質なのにそこに行けないという問題が起きます。原因となる変異にも複数あり、最近になってG551D変異(551番目のアミノ酸がグリシンからアスパラギン酸に変異)の治療薬として VX-770(ミスフォールディングを正す)というのがVertex Pharmaceuticalsという会社によって作られました。さらにVX-809(細胞両面に移動させる)という薬の開発も行っています。しかし、このタイプの変異は非常にレアで多くの人にとっては有効な薬ではありません。今回はこの嚢胞性線維症薬に関する論文が2報ありました。どちらも似たような内容で、嚢胞性線維症治療の難しさを示すものでした。

嚢胞性線維症で最も多いΔF508という変異が入った肺の細胞に対して、VX-770とVX-809長期にわたって作用させました。結果、VX-770を長期間投与することでVX-809の効果が阻害されていました。特にその結果はVX-770の量に依存しており、高濃度ほどVX-809に対する阻害も強くなっていました。また長期間XV-770を作用させることで、CFTRが不安定になる様で、CFTRが働かなくなってしまったそうです。

今回のような遺伝病の場合、根本からの治療が困難なため、変異によって起きた状況を改善させるような薬になります。そうなると、いつまでたっても変異は戻らないので死ぬまで薬を飲み続けなければならず、長期間作用させた場合の副作用というのは非常に重要な問題です。今回の場合、VX-770にさらなる改善が求められます。

元の論文
Potentiator ivacaftor abrogates pharmacological correction of ΔF508 CFTR in cystic fibrosis
Some gating potentiators, including VX-770, diminish ΔF508-CFTR functional expression
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テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

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