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No.4 性と寿命

今回の論文
Males Shorten the Life Span of C. elegans Hermaphrodites via Secreted Compounds
Travis J. Maures, Lauren N. Booth, Bérénice A. Benayoun, Yevgeniy Izrayelit,
Frank C. Schroeder, Anne Brunet
Science 343, 541 (2014)

簡単に言うと、
線虫という生物では雄の分泌物が反対の寿命を縮めるという内容

背景として、
線虫は生物学では良く使われる生き物で、1mm程度の虫。線虫のは雄と雌雄同体の2種類がある(メスとはちょっと違う)。実は以前からハエや虫では、雌雄両方が共存する環境で育てると、雌(雌雄同体)の寿命が短くなることが知られていた。ハエの場合、交尾の際、雄の精液中にあるペプチドによって寿命が縮まり、虫では交尾による物理的なダメージによって寿命が縮まると考えられてきた。今回、実は交尾なしでも寿命が縮み、フェロモンのような分泌物によって寿命を縮めているらしいということが分かった。
C. elegans
線虫はこんな生き物(wikipediaより)


具体的には、
雌雄同体の線虫を雄と一切接触させないグループ、生まれてすぐから接触させるグループ、的に成熟する4日目から接触させるグループを比較すると、初日からでも4日目からでも、雄と接触のあるグループでは寿命が縮まっていた。他にも、動きが遅くなるなど、加齢によって見られる現象が頻繁に見られるようになった。さらに、寿命が長くなることが知られていた、インシュリン受容体遺伝子欠損株、生殖細胞欠損株でも、雄と一緒に飼うと寿命が短くなっていた。
次に、そのメカニズムを調べるため、生殖細胞を欠損させた線虫を雄の有無で育て、遺伝子の発現を調べた。雄と一緒に飼うことで主に神経系で使われる遺伝子に変化が見られ、交尾による物理的なダメージとは別の経路で寿命が短くなっているらしい。逆に発現があがった遺伝子を人為的に抑制すると、寿命は長くなり、特にINS-11というペプチドが重要であることを発見。
さらに物理的なダメージではないことを調べるため、一度オスの線虫を培地で育て、そこから雄の線虫を取り除いて、その培地で雌を育ててみたけど、やはり寿命は短くなったので、やはり雄から培地に分泌しているものが寿命を縮めている原因らしい。つぎにフェロモンを感知できない雌雄同体やフェロモンを作れない雄で、同様の実験をしてみたけれど、寿命は短くならなかった。したがって、フェロモンのような分泌物によって寿命を縮めていると結論付けた。
最後に、進化的に近縁な他の線虫でも試したが、同様の結果が得られた。雄の分泌物による雌雄同体の寿命を短くする作用は進化的に(少なくとも線虫では)保存されている現象である。

個人的には、
寿命を決めるのは様々な要因があるので(次回ミトコンドリアと寿命の関係についての論文の解説します)一概に言えないが、興味深い。人ではフェロモンは見つかっていないし、人でも同じ現象があるかというのはまったく別の問題ではある。長生きしたい女は試しに男と一切接触しない人生を送ってみてはいかがだろうか。そんな生活は難しいし、私が女だったら絶対にいやだけど。もしかしたら男女別学の学校というのは寿命という観点からみると理にかなっているのか?
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テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

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